改訂新版 世界大百科事典 「メガテリウム」の意味・わかりやすい解説
メガテリウム
Megatherium
アリクイやナマケモノ,アルマジロなどと同じ貧歯目に属する巨大な絶滅哺乳類の1属。オオナマケモノともいう。南アメリカおよび北アメリカ南部の鮮新世後期ないし更新世の地層から化石で発見される。クマのような体つきをしていたが,体長が最大で6mのものもありゾウより大きく,数tもある体重を後肢と尾で支えて立ち上がり,木の葉や若芽を食べていたとされる。歯は貧弱で,小さくて四角い柱状の歯がのびつづける無根歯で,咀嚼(そしやく)面には単純な2本の稜があるにすぎない。前趾(ぜんし)の5指のうち3指に長いつめがあり,後趾の4指のうち2指に鉤(かぎ)づめが発達する。夜行性で森林にすみ,体は厚い毛皮でおおわれていたと思われる。パリの自然史博物館にある全身骨格は1789年にG.キュビエによって復元されたもので,骨格復元としては世界最初のものといわれる。学名はギリシア語の〈大きい〉という意味のメガスと〈獣たち〉を意味するテリウムとによる。
執筆者:亀井 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報