メキャベツ(読み)めきゃべつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ
めきゃべつ
[学] Brassica oleracea L. var. gemmifera Zenker

アブラナ科の二年草。キャベツ変種で、茎が30~50センチメートルに伸び立って下部を除き中・上部のすべての葉腋(ようえき)に芽がつき、その芽が径2~3センチメートルの小さいキャベツ状に結球する。名は、この結球の状態によるが、別名コモチカンラン(子持ち甘藍。カンランはキャベツの別名)、またはコモチタマナ(子持ち球菜。タマナはキャベツの別名)などという。ベルギー地方の原産で400年ほど前から栽培され、日本へは明治初期に渡来した。冷涼地に適し、初夏播種(はしゅ)して苗を育て、畑に定植秋口から順次結球した芽を摘んで収穫する。暖地では秋播(ま)きし、12月から翌春3月ころまで収穫が続けられる。主茎の葉は結球せず、堅くて食用にならない。

[星川清親]

利用

メキャベツは、煮物油炒(あぶらいた)め、サラダなどの料理に使う。キャベツよりも柔らかく、甘味があり、洋食だけでなく和風料理にも用いられ、近年は需要が増えてきている。成分は生(なま)100グラム中、水分83.9グラム、タンパク質5.5グラム、脂質0.1グラム、糖質7.8グラム、繊維1.4グラム、灰分1.3グラム、無機質は、カルシウム35ミリグラム、リン70ミリグラム、鉄1.0ミリグラム、カリウム580ミリグラム、ビタミン類は、カロチン400マイクログラム、B10.18ミリグラム、B20.22ミリグラム、C150ミリグラムで、キャベツより栄養価が高い。

[星川清親]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メキャベツ」の意味・わかりやすい解説

メキャベツ(芽甘藍)
メキャベツ
Brassica oleracea var. gemmifera; Brussels sprouts

アブラナ科の越年草。ベルギー地方の原産で,日本には明治初期に渡来した野菜。分類学上はキャベツと母種を同じくする別変種とされる。葉のつけ根の側芽が小さな球形に結球し,これを食用にする。茎は太く高さ 1mあまりになり,葉は茎上に束生し倒卵形で霜のように白粉をふいている。春に総状花序をつけ,アブラナに似た黄色の十字状花を開く。コモチカンラン,コモチタマナとも呼ばれ,静岡県が主産地。キャベツよりも軟らかく甘みがある。

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