日本大百科全書(ニッポニカ) 「モリゾ」の意味・わかりやすい解説
モリゾ
もりぞ
Berthe Morisot
(1841―1895)
フランスの女流画家。ブールジュの名門の出で、曽祖父(そうそふ)はロココの大画家フラゴナール。三人姉妹の末子として生まれ、姉エドマとともに幼時から絵を描き、両親の勧めで画家ショカルヌのもとで学び、その後ギシャールのもとに移った。1861年から68年にかけてコローの指導を受け、戸外で風景画を制作してその教えを十分に摂取し、64年のサロンに2点の風景画を出品してデビュー。姉は結婚とともに筆を絶ったが、ベルトは制作を続け、とりわけマネとは緊密な関係を結び、彼の絵のためにしばしばポーズをとった。彼女の手法はマネの導きによっていっそうの自由さを増し、72、73年ころにはより明るい色彩と細部に拘泥しないスケッチ風の筆触によって、繊細ななかにも大胆な表現を行うようになった。さらに光と大気の移ろいゆく効果をとらえることにも意を配るようになり、あくまでもサロンに固執するマネとは異なって、反サロンを標榜(ひょうぼう)する印象派のグループ展に積極的に参加。こうしたモリゾの印象主義は、逆にマネに影響を与えることにもなった。彼女は日常的情景、とりわけ女性や子供の親密な情景のなかに、自らの絵の題材をみいだした。パリで没。
[大森達次]