モーヌの大将(読み)モーヌノタイショウ(英語表記)Le Grand Meaulnes

デジタル大辞泉 「モーヌの大将」の意味・読み・例文・類語

モーヌのたいしょう〔‐のタイシヤウ〕【モーヌの大将】

原題、〈フランスLe Grand Meaulnesアラン=フルニエ小説。1913年、「NRF(新フランス評論)」誌上連載思春期の恋と内面的冒険、純粋さゆえの悲劇を幻想的に描いた青春小説の傑作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーヌの大将」の意味・わかりやすい解説

モーヌの大将
もーぬのたいしょう
Le Grand Meaulnes

アラン・フルニエ長編小説。1913年『NRF(エヌエルエフ)』(新フランス評論)誌7月~10月号に連載、同年10月ただちに単行本となる。私(わたくし)(フランソア・スーレル)の学ぶ上級学校に転校してきたモーヌは、大柄で力が強く、モーヌの大将(グラン・モーヌ)とよばれる。その彼がある日突然失踪(しっそう)し、数日後別人のように無口になって帰ってくる。道に迷った先の館(やかた)でイボンヌなる麗人に出会い、激しい恋に落ちたのだ。しかし馬車で送られたために館への道がわからない。こうしてモーヌと私の見失われた道を尋ねての冒険が始まる。情熱憧憬(しょうけい)、友情と愛、純粋さゆえの悲劇を香り高い文体でつづったこの作品は、短命に終わった作者自身の青春の記念碑であるとともに、青春文学の一傑作と目されている。

[真崎隆治]

『水谷謙三訳『モーヌの大将』(角川文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーヌの大将」の意味・わかりやすい解説

モーヌの大将
モーヌのたいしょう
Le Grand Meaulnes

フランスの作家アラン=フルニエの小説。 1913年刊。田舎の学校に転校してきた力の強い少年モーヌは,迷い込んだ屋敷で垣間見た美少女イボンヌを忘れられず,彼女を求めて遍歴する。作者の内的体験もとにした夢と現実の交錯する青春小説の傑作。

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世界大百科事典(旧版)内のモーヌの大将の言及

【アラン・フルニエ】より

…本名はHenri Alban Fournier。1913年《NRF(エヌエルエフ)》誌に連載されたのち直ちに刊行された《モーヌの大将Le Grand Meaulnes》の作者。この小説は夢と現実の混淆した幻想的世界における青春の内的冒険を描きだし,これまでの写実的な小説と対立するまったく新しい小説として迎えられ,以後若い世代の作家たちに大きな影響をあたえた。…

※「モーヌの大将」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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