アラン・フルニエ(読み)あらんふるにえ(英語表記)Henri Alain-Fournier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラン・フルニエ」の意味・わかりやすい解説

アラン・フルニエ
あらんふるにえ
Henri Alain-Fournier
(1886―1914)

フランスの小説家。10月3日、フランス中央部シェール県に生まれる。両親は小学校教師。田園の美しい自然のなかで幸福な少年時代を過ごす。12歳で単身パリに出てリセ(高等中学校)に入るが、都会になじめず、まだ見ぬ海にあこがれてブレストのリセに転校、海軍兵学校入学に備える。しかし自然科学系の学業に困難を覚え断念。シェール県ブールジュのリセの哲学科を経て、1903年、高等師範学校(エコール・ノルマル)受験のためパリのラカナル寄宿学校に入る。ここで生涯の友ジャック・リビエールと出会う。またこのころ街で擦れ違った女性イボンヌ・ド・キエブルクールを永遠の女(ひと)と思いそめる。この感動が創作の原点となる。1907年7月24日入試に失敗、その翌日にイボンヌの結婚を知る。実らぬ恋を胸に、兵役終了後文筆の道を志し、雑誌の文芸欄などを担当。1913年、『NRF(エヌエルエフ)』誌7月号から10月号にかけて『モーヌの大将』を連載し注目を集めた。だが、翌1914年8月召集を受け、9月22日ベルダン付近サン・レミの森で戦死。28歳。ほかに、散文集『奇蹟(きせき)』(1924刊)と、友情と文学的情熱を傾けたリビエールとの『往復書簡集』が残された。

[真崎隆治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラン・フルニエ」の意味・わかりやすい解説

アラン=フルニエ
Alain-Fournier

[生]1886.10.3. シェール,ラシャペル=ダンジョン
[没]1914.9.22. ベルダン付近
フランスの作家。本名 Henri Alban Fournier。フランス中部ベリー地方の田舎で,小学校教師の子として幸福な少年時代を過したのち,パリのリセ (高等中学校) に進級,そこで J.リビエールと知合い,生涯の親交を結んだ。象徴主義の流れをくむ抒情的,夢想的作品を書いたが,第1次世界大戦の開戦とともに召集され,その才能を十分開花させることなく戦死。代表作『モーヌの大将』 Le Grand Meaulnes (1913) は,過ぎ去った少年時代の田舎の学校での生活,夢と憧れが現実と入り交って神秘の世界をつくりだしていた,なつかしい日々の思い出を想像によって純化し,魅力ある素朴な筆致で定着した作品で,ほかに詩,遺稿集『奇跡』 Miracles (24) ,『リビエールとの往復書簡』 Correspondance avec Jacques Rivière (26~28) がある。

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