ヤマハンノキ(読み)やまはんのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマハンノキ」の意味・わかりやすい解説

ヤマハンノキ
やまはんのき / 山榛木
[学] Alnus hirsuta Turcz.

カバノキ科(APG分類:カバノキ科)の落葉高木。葉が丸いので、マルバハンノキともいう。高さ20メートルに達する。樹皮は褐紫色を帯び、滑らかで横長の皮目がある。葉は互生し、ほぼ円形で縁(へり)は浅く5~8裂し、鋸歯(きょし)がある。春に開いた葉の多くは、夏に緑色のまま落葉する。雌雄同株。雌雄両花序ともに前年秋から枝上に現れ、早春に開花する。堅果に狭い翼がある。川原山地の谷筋に生え、北海道から九州にかけて分布し、朝鮮半島、中国、極東ロシアにもみられる。全体に密に軟毛のある基準種をケヤマハンノキ、葉にほとんど毛がないものをヤマハンノキという。

[菊沢喜八郎 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマハンノキ」の意味・わかりやすい解説

ヤマハンノキ(山榛木)
ヤマハンノキ
Alnus hirsuta

カバノキ科の落葉高木。日本各地の山地に自生し,高さ 15m以上にもなるが小さな木も多い。葉は円形に近く,基部は心臓形となり,葉縁は5~8浅裂してさらに細かい鋸歯をもつ。葉の表は黄緑色,裏は灰白色。葉裏に毛の多いものをケヤマハンノキといって区別する場合もある。春早く,葉を出す前に花をつける。雄花序は細長い円柱状で,尾のように垂れ下がり,黄色い花粉を大量に出す。雌花は紫色で,小型の松かさ状。熟すると長さ 2cmほどの果球をつくり,翌年の開花期まで残る。樹皮や果実タンニンを含み,古くから染料として用いられた。

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