ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤラドゥア」の意味・わかりやすい解説
ヤラドゥア
Yar'Adua, Umaru Musa
[没]2010.5.5. アブジャ
ナイジェリアの政治家。大統領(在任 2007~10)。フルベ族(フラニ族)の上流家系に生まれた。一家は政界で名高く,父は第1共和制(1960~66)で閣僚を務め,兄は 1976~79年の軍事政権に参加した。ザリアのアーマドゥ・ベロ大学に学び,1975~83年に大学教員を務めたのち,企業経営に携わった。1991年カチーナ州知事選挙に立候補したが落選。1999年再び立候補し当選,2003年に再選された。州の社会経済的発展に尽力したほか,前知事から引き継いだ膨大な債務を完済したうえ州財政を 5000万ドルの黒字に転換した。2006年,オルセグン・オバサンジョ大統領から 2007年の大統領選挙の国民民主党候補に指名され,選挙では有力な軍部指導者や政治家を相手に得票率 70%で圧勝した。しかし有権者への脅迫や票の不正操作が報告され,国内外からは厳しく批判された。ヤラドゥアはオバサンジョ大統領が手がけた開発事業の続行,ニジェール川デルタ地域の紛争の収拾,構造的汚職への対策といった大きな課題に立ち向かった。2009年11月末にサウジアラビアで心臓・腎臓疾患を治療。以後,健康上の不安が問題となった。2010年2月,議会は不在のヤラドゥアに代わってグッドラック・ジョナサン副大統領が代行を務めるよう議決。ヤラドゥアは同年 2月24日に帰国したが,健康は回復せず,ジョナサンに代行をゆだねたまま死亡した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報