北半球の温帯域に約20種ほど知られているユキノシタ科チダケサシ属Astilbeから主に交配によって作出された観賞用園芸植物。栽培されるアケボノショウマA.roseaやA. × arendsiiは中国産のA.chinensisや日本産の各種が交配された雑種起源のものである。このほか,日本産のアワモリショウマやアカショウマA.thunbergii Miq.も栽培される。根生する葉は2~3回3出複葉。初夏に,高さ30~60cmくらいの茎を抽出し,微細な花を密に穂状花序をなしてつける枝を分かち,全体としては太い円錐状の花序となる。花色は,白,ピンク,紅,サーモンピンクなどがある。冬季は茎葉は枯れて根部が残り,越冬する。草丈により矮性種(高さ30~40cm)と高性種(高さ60~80cm)とに分けられている。
植えっぱなしでも丈夫な庭園用の宿根草としてその花を楽しむほか,切花としても観賞される。植え時は春。日当りがよく通風のよい肥沃な土地に適すが,種類によっては半日陰がよいものもある。元肥として堆肥,腐葉土類などを施しておくとよい。植付け間隔は25~35cm。繁殖は株分けによる。切花にしたときは水揚げが悪い。
執筆者:柳 宗民
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ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の耐冬性多年草または低木。チダケサシ属。中央アジア、東南アジア、北アメリカ東部の原産で、日本にも6種が分布する。花壇用、切り花用に用いる。葉は1~2回3出葉、花は穂状花序が集まり円錐(えんすい)花序となる。園芸品種を含めると花色は、白、桃、紅、赤など豊富である。日本産のアワモリショウマ、アカショウマなども庭園用に用いるが、園芸的にとくに栽培されるのは、アレンジーA. arendsiiとアケボノショウマA. roseaで、アケボノショウマの園芸品種のグローリヤ(赤色)、ピーチブロッサム(桃色)、ドイチェランド(白色)、ファナル(濃紅色)、ケルン(桃紅色)などもよく栽培される。矮性(わいせい)種を利用して鉢植えが楽しめるが、庭園用には10月または3月に定植するとよい。促成栽培も可能で、最低13℃くらいに保つと、約2か月半で開花するので鉢物用、切り花用によく栽培される。切り花の水揚げがやや悪いので、市場には水揚げ処理後に出荷される。
[魚躬詔一 2020年3月18日]
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…渓谷沿いの岩上に自生するユキノシタ科の多年草で,花が淡紅色の品種もあって,しばしば観賞用として庭にも植えられる(イラスト)。和名は,白い小さな花が,泡が集まったようについているのにちなんで名付けられた。アワモリソウともいう。茎の高さは25~60cm,葉は2~4回3出する複葉となり,やや厚くて光沢がある。小葉は披針形で,先は鋭くとがり,ふちに重鋸歯がある。5~6月,円錐形の花序に多数の小さな白い花をつけ,甘い香りを放つ。…
…チダケサシは,明るい林床や山地の草原などに生え,小葉は倒卵形で先は丸みを帯び,7~8月ころ咲く花はふつう淡紅色である。この属の自然種や種間交配種は,アスチルベの名で観賞用に栽培される。【若林 三千男】。…
※「アスチルベ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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