アスチルベ(その他表記)Astilbe

デジタル大辞泉 「アスチルベ」の意味・読み・例文・類語

アスチルベ(〈ラテン〉Astilbe)

ユキノシタ科多年草中央アジア北アメリカ原産で、日本には17種が分布花壇・切り花に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ
Astilbe

北半球の温帯域に約20種ほど知られているユキノシタ科チダケサシAstilbeから主に交配によって作出された観賞用園芸植物。栽培されるアケボノショウマA.roseaA. × arendsiiは中国産のA.chinensisや日本産の各種が交配された雑種起源のものである。このほか,日本産のアワモリショウマアカショウマA.thunbergii Miq.も栽培される。根生する葉は2~3回3出複葉。初夏に,高さ30~60cmくらいの茎を抽出し,微細な花を密に穂状花序をなしてつける枝を分かち,全体としては太い円錐状の花序となる。花色は,白,ピンク,紅,サーモンピンクなどがある。冬季は茎葉は枯れて根部が残り,越冬する。草丈により矮性種(高さ30~40cm)と高性種(高さ60~80cm)とに分けられている。

 植えっぱなしでも丈夫な庭園用の宿根草としてその花を楽しむほか,切花としても観賞される。植え時は春。日当りがよく通風のよい肥沃な土地に適すが,種類によっては半日陰がよいものもある。元肥として堆肥,腐葉土類などを施しておくとよい。植付け間隔は25~35cm。繁殖は株分けによる。切花にしたときは水揚げが悪い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ
あすちるべ
[学] Astilbe Buch-Ham

ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の耐冬性多年草または低木。チダケサシ属。中央アジア、東南アジア、北アメリカ東部の原産で、日本にも6種が分布する。花壇用、切り花用に用いる。葉は1~2回3出葉、花は穂状花序が集まり円錐(えんすい)花序となる。園芸品種を含めると花色は、白、桃、紅、赤など豊富である。日本産のアワモリショウマ、アカショウマなども庭園用に用いるが、園芸的にとくに栽培されるのは、アレンジーA. arendsiiとアケボノショウマA. roseaで、アケボノショウマの園芸品種のグローリヤ(赤色)、ピーチブロッサム(桃色)、ドイチェランド(白色)、ファナル(濃紅色)、ケルン(桃紅色)などもよく栽培される。矮性(わいせい)種を利用して鉢植えが楽しめるが、庭園用には10月または3月に定植するとよい。促成栽培も可能で、最低13℃くらいに保つと、約2か月半で開花するので鉢物用、切り花用によく栽培される。切り花の水揚げがやや悪いので、市場には水揚げ処理後に出荷される。

[魚躬詔一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ
Astilbe; perennial spiraea

ユキノシタ科の多年草。アスチルベ (チダケサシ) 属を総称する名であるが,園芸的には,日本原産のアワモリショウマチダケサシなどと,中国原産のオオチダケサシ A.chinensis  var.davidiiとの交配によって作出されたアスチルベ・アレンジー A.×arendsiiをさす。葉は2~3回3出複葉で,茎頂に泡のようにみえる小花が集った円錐花序を形成する。花色には紅,紫紅色,桃,白などがあり,切り花としても利用されるが,十分開花した状態で切取らないと,水揚げが悪く,花穂が垂れてしまう。栽培は容易。土質は特に選ばない。耐寒性が強く,冬も防寒の必要はない。夏は直射日光を避けたほうが無難で,半日陰でよく育つ。

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百科事典マイペディア 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ

ユキノシタ科の一属で,多くはアジアに分布。観賞用にヨーロッパで園芸種がつくられ,庭草として花壇や切花にも使われる多年草。葉は2〜3回3出葉,小葉は披針形で,縁には不斉鋸歯(きょし)がある。茎の上部に円錐花序をつけ,多くの白・ピンク・紅色の小花を咲かせる。日本産のアワモリショウマやアカショウマなどもこの類である。適当に湿りのある肥えた土地を好み,花期は6月。花が終わってから株分けでふやす。

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世界大百科事典(旧版)内のアスチルベの言及

【アワモリショウマ(泡盛升麻)】より

…渓谷沿いの岩上に自生するユキノシタ科の多年草で,花が淡紅色の品種もあって,しばしば観賞用として庭にも植えられる(イラスト)。和名は,白い小さな花が,泡が集まったようについているのにちなんで名付けられた。アワモリソウともいう。茎の高さは25~60cm,葉は2~4回3出する複葉となり,やや厚くて光沢がある。小葉は披針形で,先は鋭くとがり,ふちに重鋸歯がある。5~6月,円錐形の花序に多数の小さな白い花をつけ,甘い香りを放つ。…

【アワモリショウマ(泡盛升麻)】より

…チダケサシは,明るい林床や山地の草原などに生え,小葉は倒卵形で先は丸みを帯び,7~8月ころ咲く花はふつう淡紅色である。この属の自然種や種間交配種は,アスチルベの名で観賞用に栽培される。【若林 三千男】。…

※「アスチルベ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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