アスチルベ(読み)あすちるべ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ
あすちるべ
[学] Astilbe Buch-Ham

ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の耐冬性多年草または低木チダケサシ属。中央アジア、東南アジア、北アメリカ東部の原産で、日本にも6種が分布する。花壇用、切り花用に用いる。葉は1~2回3出葉、花は穂状花序が集まり円錐(えんすい)花序となる。園芸品種を含めると花色は、白、桃、紅、赤など豊富である。日本産のアワモリショウマアカショウマなども庭園用に用いるが、園芸的にとくに栽培されるのは、アレンジーA. arendsiiアケボノショウマA. roseaで、アケボノショウマの園芸品種のグローリヤ(赤色)、ピーチブロッサム(桃色)、ドイチェランド(白色)、ファナル(濃紅色)、ケルン(桃紅色)などもよく栽培される。矮性(わいせい)種を利用して鉢植えが楽しめるが、庭園用には10月または3月に定植するとよい。促成栽培も可能で、最低13℃くらいに保つと、約2か月半で開花するので鉢物用、切り花用によく栽培される。切り花の水揚げがやや悪いので、市場には水揚げ処理後に出荷される。

[魚躬詔一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスチルベ」の意味・わかりやすい解説

アスチルベ
Astilbe; perennial spiraea

ユキノシタ科の多年草。アスチルベ (チダケサシ) 属を総称する名であるが,園芸的には,日本原産のアワモリショウマチダケサシなどと,中国原産のオオチダケサシ A.chinensis  var.davidiiとの交配によって作出されたアスチルベ・アレンジー A.×arendsiiをさす。葉は2~3回3出複葉で,茎頂に泡のようにみえる小花が集った円錐花序を形成する。花色には紅,紫紅色,桃,白などがあり,切り花としても利用されるが,十分開花した状態で切取らないと,水揚げが悪く,花穂が垂れてしまう。栽培は容易。土質は特に選ばない。耐寒性が強く,冬も防寒の必要はない。夏は直射日光を避けたほうが無難で,半日陰でよく育つ。

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