日本大百科全書(ニッポニカ) 「リワーク支援」の意味・わかりやすい解説
リワーク支援
りわーくしえん
うつ病などの心の健康問題を理由に休業している人や、休職と復職を繰り返している人が、スムーズに職場へ復帰し、業務を継続できるように支援すること。リワークreworkとは復職(return to work)の意味で、復職支援、職場復帰支援ともいう。厚生労働省は2004年(平成16)に「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を公表した。同省所轄の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構と、その窓口となる全国の地域障害者職業センターで上記手引書を活用した支援事業を行っている。この支援事業のことをリワーク支援とよんでおり、これは公的機関、民間の医療機関や支援団体などで行われている活動についても共通して使われている。
心の健康問題で長期間休業している人の場合、業務内容や勤務先に対する不安が根強い。そのため、休業中に症状が落ち着いても、職場に復帰し、継続的に業務を続けられるようになるまでには長い時間を要するケースが多い。リワーク支援では、無理なく職場復帰が果たせるように、病気休業中のケアから職場復帰後の援助に至るまでの手順を、復職支援プログラムとしてまとめている。このプログラムは五つの基本となる段階で構成されており、それを参考に、個別の職場復帰プランが作成される。復帰支援プログラムの5段階は以下のとおりである。(1)病気休業開始、および休業中のケア。(2)主治医による将来的な職場復帰の可能性の判断。(3)職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成。(4)最終的な職場復帰の決定。(5)職場復帰後のフォローアップ。
実際の個別プランでは、各段階の円滑な移行や実際に復帰してからの再発リスクを軽減するため、休職者の意思と勤務先や医師など、すべての関係者の判断をもとに、配置転換や異動の調整なども行われる。また、休職者の復帰が近づくと、実際の勤務のように障害者職業センターへ通う訓練なども行われる。勤務先によっては、実際の職場へ復帰する前に「ならし勤務(リハビリ勤務)」という徐々に慣れてもらうための制度を導入している企業も増えている。
[編集部]