労働者に一定の事由が発生した場合,一定の期間従業員の地位を失わせないで労働義務を免除する措置。(1)一般職公務員の場合は分限処分の一種として法律に要件等が定められている(国家公務員法79,80条,地方公務員法28条)。それによれば,公務員は,(a)心身の故障により長期休養を必要とする場合,(b)刑事事件で起訴された場合,(c)人事院規則第11-4(地方公務員の場合は条例)の定める事由に該当した場合に休職処分を受けることがある。(c)の場合とは,学校等で学術の研究調査,指導に従事したり,外国の政府等に招かれて職務上の関連機関で仕事をする場合,および,災害により所在または生死が不明の場合,である。休職期間は,(b)の場合は裁判係属中,(a)と(c)の場合は3年を限度に必要に応じて任命権者(大学の教官等については大学管理機関)が定める。休職期間中は,休職事由に応じて俸給等の6割以上が支払われることがある(一般職の職員の給与に関する法律23条)。休職事由が消滅すれば休職処分は当然消滅し復職する。
(2)民間労働者の場合は休職の要件,手続,効果を定めている法律はない。すべて労使自治にゆだねられている。その種類,性質はおおむね三つに区分できる。(a)一定の期間解雇を猶予するための休職(私傷病長期療養休職など),(b)懲戒処分の前段階措置として就労させることが不適当な場合に行われる休職,(c)あらかじめ認めた労働不能事由が発生した場合の休職(公職就任,組合専従など)。休職の許容期間,賃金の取扱い,退職金や昇給資格への影響の有無や程度に関してはさまざまであるが,休職事由にかかわりなく全期間を欠勤と同一視する事例は少ない。所定の休職期間の満了時になお休職事由が消滅しない場合でも,当然に解雇の効力が発生するわけではない。他方,休職期間中に休職事由が消滅すれば復職の効果が当然に発生するものと解される。
執筆者:渡辺 章
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
公務員、労働者に対しその職を保有させつつ一定期間職務に従事させない処分をさす。公務員法上は公務能率の維持および適正な運営を目的としてなされる分限処分の一種。公務員が刑事事件に関し起訴された場合に、職場秩序の維持、職務遂行に対する国民の信頼、公務の正当な運営を図るために行われるもの、心身の障害のため長期の休養を要する場合に行われるものなどがある。公務員の申請に基づく依願休職は一般には許されていない。
[阿部泰隆]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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