リンツ(その他表記)Linz

デジタル大辞泉 「リンツ」の意味・読み・例文・類語

リンツ【Linz】[地名]

オーストリア北部、オーバーエスターライヒ州都市。同州の州都ドナウ川沿岸にあり、交通の要衝鉄鋼化学肥料機械などの重化学工業発達。旧市街には新旧大聖堂、リンツ城などの歴史的建造物がある。メディアアートの国際芸術祭アルスエレクトロニカの開催地。
[補説]曲名別項。→リンツ

リンツ【Linz】[曲名]

モーツァルト交響曲第36番ハ長調の通称。1783年作曲。全4楽章。リンツ滞在中の数日間で作曲され、トゥーン=ホーエンシュタイン伯爵の演奏会で初演。

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改訂新版 世界大百科事典 「リンツ」の意味・わかりやすい解説

リンツ
Linz

オーストリア中北部,オーバーエスターライヒ州の州都。人口18万7112(2005)。ウィーンの西方160km,ドナウ川右岸を中心に発達。オーストリア鉄鋼連盟の設立(1938),酸素上吹転炉法(LD法)の開発(1953)で屈指の工業都市に躍進した。広い河港を擁し,鉄鋼,化学,機械,造船,電気,製材,タバコ,ガラスの諸工業が発達する。1783年以来,司教座の所在地。美術学校,州立図書館,劇場をもつ地方文化の中心地。ロマネスク風に改装した,オーストリア最古の聖マルティン聖堂(8世紀),初期バロック式のイエズス会聖堂(1669-78),ルネサンス風の州会議事堂(1546-71,1800改修),城館(8世紀末の砦を17世紀初めに改造)などがある。

 1世紀にすでにローマ軍が駐屯地を設営,9世紀に王領地となり,スラブ系諸部族とのドナウ川交易の拠点となった。10世紀初めに商人定住区が成立,12世紀にパッサウ司教,次いで司教のミニステリアーレ(家人)が領有。1210年ごろオーストリア大公が買いとった。13世紀中に都市に成長し,関税・市場税収入と都市君主たるハプスブルク家の庇護で繁栄した。1490年自治を許され,オーバーエスターライヒ邦の首都に昇格。1600年以後,反宗教改革の運動が浸透した。72年創立の毛織物工場は,重商主義理念の所産で,18世紀には国営化され,一時は5万人を雇用した。1837-38年ドナウ川に蒸気船が就航し,58年ウィーン間との鉄道開通により経済圏が拡大した。第2次大戦中アメリカ軍の空襲で大工業は壊滅したが,戦後の国有化で復興した。1945-55年は,アメリカ占領地区とソ連占領地区に二分された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンツ」の意味・わかりやすい解説

リンツ
りんつ
Linz

オーストリア北部、オーバーエスターライヒ州の州都。標高264メートルの地にあり、市街はドナウ川にまたがって発達する。人口18万3504(2001)で、首都ウィーン、グラーツに次ぐオーストリア第三の都市。すでにローマ時代に要塞(ようさい)があり、レンティアLentiaの名でよばれ、1210年にバーベンベルク家の所領になってから都市域が拡大し、ドナウ川による東西交通と、ザルツカンマーグートからボヘミアに至る「塩の道」の南北交通との交差点として栄えてきた。1938年に建設された製鉄工場を中心に、第二次世界大戦中から工業の集積があり、オーストリア有数の重化学工業都市である。鉄鋼、化学肥料、薬品、機械、船舶、タバコ、ガラス製品など多様な製品を産する。旧市域には大聖堂、王宮博物館、州庁舎などバロック、ゴシック、ルネサンスの様式の建物が残る。ほかにリンツ城、8世紀のロマネスク様式を残す聖マルティン教会などがある。

[前島郁雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンツ」の意味・わかりやすい解説

リンツ
Linz

オーストリア北西部,オーバーエスターライヒ州の州都。ウィーンの西約 160kmのドナウ川沿いに位置する。ローマ時代の砦レンティアが起源。中世には,バルト海とアドリア海を結ぶ通商路上の商業都市,河港として発達。 15世紀には神聖ローマ皇帝の居地となったこともある。 1785年以後は司教座がおかれ,美術,音楽,絵画の諸学校や劇場,図書館を有する文化の中心地となった。天文学者ケプラー,詩人シュティフター,音楽家ブルックナーなどもここで活躍。初期バロック様式の市庁舎,13世紀の教区聖堂,17世紀の大聖堂など,歴史的建築物が特に多い。 1938年以降は鉄鋼業を中心に工業都市化が進み,第2次世界大戦時の被災跡も早期に復旧して,現在では鉄鋼と化学の大プラント工場があり,そのほか機械,電機,繊維など各種の工業が立地している。人口 20万 2855 (1991) 。

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百科事典マイペディア 「リンツ」の意味・わかりやすい解説

リンツ

オーストリア北部のオーバーエスターライヒ州の州都。ドナウ川に臨む河港都市で,鉄鋼,造船,電気,化学,繊維,タバコなどの工業が行われる。オーストリア最古の聖マルティン聖堂がある。交通の要地,中世以来商業都市として繁栄。18万9889人(2011)。

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デジタル大辞泉プラス 「リンツ」の解説

リンツ

オーストリアの作曲家W・A・モーツァルトの交響曲第36番K425(1783)。原題《Linz》。ザルツブルクからウィーンへの帰路でリンツに滞在し、その数日間で作曲したことで知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のリンツの言及

【オーバーエスターライヒ[州]】より

…ドナウ川が流れる地域は南方に向かってオーストリアの農業地帯がひろがっており,住民の大半は農業を営んでいるが,森林地帯も州の40%に及んでいる。州都のリンツはドナウ川中流に位置している人口20万の重工業の中心地である。ここの鋼鉄製造業は,ツィスタースドルフZistersdorfの油田とならんで,オーストリア産業の根幹である。…

※「リンツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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