リン酸カリウム(読み)りんさんかりうむ(その他表記)potassium phosphate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

リン酸カリウム
りんさんかりうむ
potassium phosphate

リン酸の三カリウム塩のことであるが、工業や医薬の部門では一水素塩および二水素塩のことをさす。

(1)リン酸三カリウム 第三リン酸カリウムともいう。リン酸と水酸化カリウム水溶液中で当量の割合で反応させ、蒸発乾固後、加熱脱水すれば無水和物として得られる。きわめて吸湿性の無色結晶。水溶液は強アルカリ性。ほかに三および八水和物がある。

(2)リン酸水素二カリウムdipotassium hydrogenphosphate 第二リン酸カリウムともいう。化学式K2HPO4式量174.2。リン酸カリウムと同様の方法で無水和物が得られる。潮解性、無色の結晶。水溶液は弱アルカリ性。pH緩衝剤、細菌カビの培養基、医薬品などに用いられる。

(3)リン酸二水素カリウムpotassium dihydogenphosphate 第一リン酸カリウムともいい、KDPと略称する。化学式KH2PO4、式量136.1。工業的には、リン酸と塩化カリウムを強熱してつくったメタリン酸カリウムを金属板上で急冷し、水に溶解後、蒸発濃縮することによって結晶とする。比重2.238。無色柱状晶、強誘電体で圧電率も大きい。7℃で水100グラムに33グラム溶け、水溶液は弱酸性を呈する。肥料に使われるほか、結晶は圧電素子、電気光学素子、レーザーの光高調波発生などに用いられる。

[鳥居泰男]


リン酸カリウム(データノート)
りんさんかりうむでーたのーと

リン酸カリウム
  K3PO4
 式量  212.3
 融点  1340℃
 沸点  ―
 比重  2.564(測定温度17℃)
 結晶系 斜方
 溶解度 193.1g/100g(水25℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

リン酸カリウム
リンさんカリウム
potassium phosphate

化学式 K3PO4 。第三リン酸カリウムまたはリン酸三カリウムともいう。リン酸に当量の水酸化カリウムを反応させて,乾固加熱脱水すると無水物が得られる。無色,斜方晶系結晶,融点 1340℃。水によく溶けて強アルカリ性を呈する。3水塩,8水塩もある。エチルアルコールには不溶。洗剤原料に用いられる。なお,医薬分野や工業関係ではリン酸二水素カリウム KH2PO4 およびリン酸水素二カリウム K2HPO4 を単にリン酸カリウムと称することがある。

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栄養・生化学辞典 「リン酸カリウム」の解説

リン酸カリウム

 KnH3nPO4で表される3種類のリン酸のカリウム塩.醸造,食品製造に用いる食品添加物調味料の強化剤にも使われる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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