ルリマツリ(その他表記)leadwort
Plumbago capensis Thunb.

改訂新版 世界大百科事典 「ルリマツリ」の意味・わかりやすい解説

ルリマツリ
leadwort
Plumbago capensis Thunb.

南アフリカ原産のイソマツ科の草状低木。枝先に淡青色で径2.5cmくらいの花筒の先が5裂した美しい花を多数つけ,温室ではほとんど年中開花する。鉢物とされ,また暖地や熱帯地方では庭園木として利用される。高さ約1.5mで枝分れし,枝先はややつる状となり,生育はよい。葉は長楕円形で先が少しとがり,長さ約6cm,短い葉柄をもつ。葉の基部には3~4枚の小さな葉を叢生(そうせい)する。2枚の円腎形の托葉状のものがつくが,葉状の托葉はなく,腋芽(えきが)の葉である。萼は筒状で5裂し,腺毛が生える。花冠の花筒部は細長く長さ約4cmで,その先が開出し平たく5裂し,各片の中央に青い筋が通っている。花は穂状につくが,花軸は3~4cmで短く,やや一方向に偏してつく。近縁種には赤い花をつけるインドから東南アジア原産のアカマツリP.indica L.や,白い花をつけるインドマツリP.zeylanica L.などがあり,ルリマツリと同じように観賞用に栽植される。またこれらの種の根や樹皮には橙黄色のプルンバギンplumbaginを含有し,インドや中国では民間薬として利用される。栽培は容易で,日当りを好む。用土排水のよいものを使う。繁殖実生あるいは挿木による。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルリマツリ」の意味・わかりやすい解説

ルリマツリ
るりまつり / 瑠璃茉莉
[学] Plumbago auriculata Lam.
Plumbago capensis Thunb.

イソマツ科(APG分類:イソマツ科)の常緑低木。南アフリカ原産。枝はよく伸びるとややつる状となり、多く分枝する。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)状卵形で長さ約5センチメートル、腎臓(じんぞう)形の托葉(たくよう)がある。花は短い穂状花序をなし、春から秋まで次々に開く。萼(がく)は筒状、花冠は淡青色で5片に分かれており、径2.5センチメートル余りで、筒部は細長い。白色花をつける変種がある。観賞用として鉢植えにするほか、花壇にも植える。

 栽培は容易で、普通、鉢植えにして温室内で行うが、夏の花壇に植え込むのもよい。繁殖は挿木かまたは実生(みしょう)による。

[松岡清久 2021年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルリマツリ」の意味・わかりやすい解説

ルリマツリ
Plumbago capensis; leadwort

イソマツ科の常緑低木。南アフリカ原産で,温室で観賞用に栽培され,属名のプルンバーゴ (プランバーゴ) の名で呼ばれることもある。幹は直立するが,上部ではつた状となり,分枝して,白色の小鱗片におおわれる。花序以外の部分は無毛である。葉は長楕円形で,先は鈍頭,短柄があり,腎臓形の托葉がある。春から秋に順次,短い穂状花序の一方の側にだけ青色の花をつける。花冠は盆形で,花筒部は細長い。萼には軟毛があり,萼の上部には有柄の腺がある。 蒴果は膜質で長楕円形をしている。

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百科事典マイペディア 「ルリマツリ」の意味・わかりやすい解説

ルリマツリ

南アフリカ原産のイソマツ科の常緑小低木。茎はよく分枝し,枝はのびて半つる性になる。葉は互生し長楕円形。春〜秋,枝先に花穂をつけ,径約2.5cmの花を5〜10個開く。花冠は空色で,上部は5深裂し,花筒は細長い。温室で鉢植とし,また夏には花壇に植えて観賞。繁殖はさし芽,株分けによる。

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