日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルンビニー」の意味・わかりやすい解説
ルンビニー
るんびにー
Lumbinī
仏教の開祖釈迦(しゃか)の生誕の地で、父浄飯(じょうぼん)王のカピラバストゥKapila-vastu(迦毘羅城(かぴらじょう)、迦維羅衛城(かいらえじょう))と母摩耶夫人(まやぶにん)の郷里デーバダハDevadaha(天臂(てんぴ)城)の中間にあった園林の名。漢訳仏典では藍毘尼、嵐毘尼などと音写される。摩耶夫人は出産のための里帰りの途中、この園の無憂樹(むうじゅ)(あるいは沙羅樹(さらじゅ)とも)の枝につかまって、釈尊を右わきから出産したという。1897年にバガバンプルBhagavanpurの北方2マイル、ネパールの辺境にあるルンミンディLummindeiという村から、「釈尊生誕の地に参拝した」と記すアショカ王の碑文が発見され、この地が釈尊誕生の古址(こし)であることが確認された。遺跡は保存され、公園として公開されている。この地は1997年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[森 章司]