ロキソプロフェンナトリウム(読み)ろきそぷろふぇんなとりうむ(その他表記)loxoprofen sodium

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロキソプロフェンナトリウム
ろきそぷろふぇんなとりうむ
loxoprofen sodium

プロピオン酸系の非ステロイド性鎮痛・抗炎症解熱剤で、商品名ロキソニン。1986年(昭和61)、三共(現第一三共)が創製した。消化管よりすみやかに吸収され、鎮痛・抗炎症・解熱作用が強く、消化管障害が比較的少ない。内用に錠剤(60ミリグラム)、細粒(10%)、外用にテープ、パップがある。内用剤の適用は関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛の消炎、鎮痛に、また、手術後、外傷後ならびに抜歯後の鎮痛、消炎に1回60ミリグラム、1日3回経口投与する。頓用(とんよう)の場合は、1回60ミリグラム、1日1~2回投与する。空腹時の投与は避ける。テープおよびパップは、変形性関節炎、筋肉痛、外傷後の腫脹(しゅちょう)・疼痛(とうつう)に患部に貼付(ちょうふ)する。

 作用機序は、炎症、発熱の原因となるプロスタグランジンの生合成に必須シクロオキシゲナーゼという酵素の働きを阻害し、プロスタグランジンの生合成を抑制することによる。また、本剤自体は薬理作用を示さず、体内に吸収されたのち活性物質に代謝されて初めて薬理作用が発揮されるので、胃腸障害が少ない。

 副作用は、内用で消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐(おうと)、食欲不振等)、むくみ、発疹(ほっしん)、眠気等が報告されている。発現は少ないが、重大な副作用として、アナフィラキシーショック、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、うっ血性心不全、間質性肺炎、消化管出血、肝機能障害、喘息(ぜんそく)発作などがあげられている。

 消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)、重篤な血液異常、肝・腎・心臓機能障害、過敏症、アスピリン喘息、妊娠末期には禁忌。また、ワルファリン、血糖降下剤トルブタミドや合成抗菌剤エノキサシン、メトトレキサート、炭酸リチウム、チアジド系利尿剤との併用では、それらの薬剤の作用を増強させたり、減弱させたりするので注意が必要である。

 後発品も多く、そのなかには内用液「60ミリグラム/10ミリリットル」もある。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス の解説

ロキソプロフェンナトリウム

薬に含まれる成分のひとつ。消炎鎮痛成分がある。ロキソニン(第一三共ヘルスケア)が知られる。

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