日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンド形式」の意味・わかりやすい解説
ロンド形式
ろんどけいしき
rondo form 英語
Rondoform ドイツ語
音楽用語。18世紀後半に確立された器楽曲の形式で、ソナタ、交響曲、協奏曲、室内楽曲など、いわゆるソナタ多楽章構造をとる器楽曲の終楽章に用いられることが多い。整備された形式的規範としては、中心的楽想であり、何度も回帰するロンド主題(これはつねに主調で出現することを原則とする)と、それが数回繰り返される間に挿入されるいくつかのエピソードからなる。エピソードは主調から離れるのを原則とするが、やがてソナタ形式の調構造の影響を受けて定式ができあがる。もっともわかりやすい形を図式的に示すと、A(主調)―B(属調)―A(主調)―C(平行調、下属調など)―A(主調)―B′(主調)―A(主調)ということになる。しかし、これをロンド形式の基本型と考えてしまうのは誤解で、こういった単純明快な形式を示すもの以外に、この形式の範疇(はんちゅう)に組み入れるべき実例はきわめて多様であり、また整然とくぎることのできないものも多い。
[大崎滋生]