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楽式 ガクシキ

世界大百科事典 第2版の解説

がくしき【楽式】

音楽形式の意。特に明確に意識されるのは西洋音楽においてである。音楽には造形芸術と違って眼に見える形というものは存在しないが,時間の流れにおいて成立する部分と部分の相互関係,部分と全体の統一関係という意味では,形式はきわめて重要な要素である。形式のない音楽はありえない。内容に対する形式,美的原理としての形式,といった次元では美学的考察の対象となるが,ふつう楽式という場合は,楽曲を構成する基本的骨格をさす。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

がくしき【楽式】

楽曲の構造形式。音楽の形式。反復形式・連続形式・連環形式に大別され、さらに二部形式・三部形式・ロンド形式・ソナタ形式・フーガ形式などに細分される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

楽式
がくしき
musikalische Formenドイツ語
musical forms英語

楽曲を構成する基本的原理を意味する音楽用語。音楽形式という場合もあるが、音楽形式には、(1)音素材や音楽内容に関して美学的見地からみた原理、(2)歴史的、経験的に形成されてきた個々の楽曲の具体的形式、の2種類の概念があり、厳密には後者に限って楽式と同義になる。そういった楽曲の構成原理は、あらゆる民族や時代によってさまざまであるが、楽式という場合、その対象はほとんど西洋の芸術音楽に限られる。この意味をもつ楽式はさらに「基礎楽式」と「応用楽式」とに大別され、言及されることができる。[黒坂俊昭]

基礎楽式

旋律を中心に音楽をみた場合、その最小の単位は動機であり、それが発展して小楽節、さらに大楽節が形成される。通常、動機は2小節からなり、それが二つずつ組み合わされてできる小楽節と大楽節とは、それぞれ4小節と8小節とからなる。こうして構成される8小節の構造は「大楽節構造」とよばれ、音楽のもっとも基礎的なまとまりとして取り扱われる。この大楽節構造を基に基礎楽式は、その数に応じて、一部分形式(大楽節が1個)、二部分形式(2個)、三部分形式(3個)の3種類の形式が成立する。一部分形式は大楽節構造そのものであるが、二部分形式はその構造上、次の三つのタイプに分けられる。(1)反復 同一の大楽節が繰り返される(a―a)。(2)対照 異なる大楽節が組み合わされる(a―b)。(3)修飾的反復 後ろの大楽節が変化しながら反復する(a―a′)。また三部分形式は、提示―対照―再現という統一をもっているが、再現において正確な反復がなされる場合は「機械的再現」(a―b―a)、修飾的に反復がなされる場合は「修飾的再現」(a―b―a′)とよばれる。これらの構成の原則はさらに複雑になり、より大きな楽式の形成原理の基となる。[黒坂俊昭]

応用楽式

楽曲全体にわたる構成上の原理のことで、その重要な形式は次のように分類される。
 反復形式 これは、最初に一つの楽想を提示し、それを変奏して反復するか、あるいは性格の異なる部分を挟んで反復するかによって構成される形式で、楽想の部分的対照と最初の楽想への帰結を、その統一の原理としている。
 連続形式 おもに声楽ポリフォニーにみられる形式。部分的対照や反復よりも並列的連続性が重んぜられ、反復形式のように形式を図式化することはできない。
 多楽章形式 単一楽章に関する諸形式の楽曲を数曲まとめ、より大きな一つの楽曲を形成する形式。楽曲ジャンルといっても差し支えない。したがって、それらの用語がそれぞれの楽曲を表す表題となる場合も非常に多い(モーツァルト作曲ピアノ・ソナタ ハ長調、バッハ作曲『マタイ受難曲』など)。
 なお、現代の音楽においては伝統的な楽式の概念は軽視され、さらには拒絶さえされている。現代の音楽は形式としてとらえられるのではなく、形式をつくりだす過程として把握されるのである。[黒坂俊昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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