ロートブラット(読み)ろーとぶらっと(英語表記)Joseph Rotblat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロートブラット」の意味・わかりやすい解説

ロートブラット
ろーとぶらっと
Joseph Rotblat
(1908―2005)

イギリス物理学者ポーランド生まれ。5歳のとき第一次世界大戦が始まり、苦学してポーランド自由大学を卒業。1939年、30歳のとき祖国を離れ、イギリスのリバプール大学でサイクロトロンの研究に携わる。その後、アメリカの核兵器開発プロジェクト「マンハッタン計画」に参加するため渡米するが、核兵器開発への疑問を抱き、1944年同計画から離脱しアメリカを去る。1955年核廃絶を目ざす「ラッセル・アインシュタイン宣言」に原署名者として参加。1957年核兵器と戦争の廃絶を目ざす科学者の会議「パグウォッシュ会議」をバートランド・ラッセルらと創設。1973年まで事務局長を務め、1988年会長に就任。一貫して核兵器廃絶に向けて尽力してきたことに対し、1995年パグウォッシュ会議とともにノーベル平和賞が贈られた。

[編集部]

『ジョセフ・ロートブラット著、小野周監訳『核戦争と放射線』(1982・東京大学出版会)』『ジョセフ・ロートブラット編著、黒沢満訳『科学者の役割――軍拡か軍縮か』(1986・西村書店)』『ジョセフ・ロートブラット他編著、小沼通二他監訳『核兵器のない世界へ』(1995・かもがわ出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロートブラット」の意味・わかりやすい解説

ロートブラット
Rotblat, Joseph

[生]1908.11.4. ポーランド,ワルシャワ
[没]2005.8.31. イギリス,ロンドン
ポーランド生まれのイギリスの物理学者。パグウォッシュ会議創設者・会長。 1932年ワルシャワのポーランド自由大学で修士号,1938年ワルシャワ大学で博士号を取得。 1939年イギリスのリバプール大学教授。 1944年アメリカのロスアラモスで進められた原爆開発を目指すマンハッタン計画に参加したが,ナチス・ドイツには原爆をもつ意志がないことを知り,計画参加の条件としていた信頼が裏切られたとして計画から離脱してリバプールに戻った。第2次世界大戦後はイギリスの市民権を得て,放射線医療の研究に傾注,1950~76年ロンドン大学セント・バーソロミュー医学校教授。 1955年バートランド・A.W.ラッセルによる核兵器拡大の批判宣言にアルバート・アインシュタインらとともに署名 (→ラッセル=アインシュタイン声明 ) 。この宣言が 1957年のパグウォッシュ会議の創設につながる。 1995年には核廃絶を目指すパグウォッシュ会議とともに,ノーベル平和賞を受賞。原子物理学や世界平和などに関する著作がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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