日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワーナー・ランバート」の意味・わかりやすい解説
ワーナー・ランバート
わーなーらんばーと
Warner Lambert Co.
アメリカの大手医薬品・消費者製品メーカーで、2000年ファイザーに吸収合併された。1856年に創業者ウィリアム・ワーナーWilliam R. Warnerがフィラデルフィアで始めた薬局が起源。1916年化粧品を製造するリチャード・ハドナット社を買収、20年同社およびファイファー・ケミカルを合併して改組、同名の前身会社を継承してウィリアム・R・ワーナー社William R. Warner & Co.を設立した。1950年代に一連の医薬品企業を買収、55年ランバート社The Lambert Co.と合併してワーナー・ランバートに社名変更。
1960年代は歯科用品のラクトナや、チューインガム、ミント、咳(せき)どめシロップなどで知られるアメリカン・チックルの買収など、消費者向け製品に多角化した。69年にエバーシャープを買収してひげそり用品に進出、現在もブランド名「シックSchick」の剃刀(かみそり)で世界的に広く知られる。70年に「クロロマイセチン」(抗生物質クロラムフェニコールの商品名)などで著名な中堅医薬品企業パーク・デービスParke, Davis & Co.(1875設立)を買収した。海外には早くから進出していたが、1960年代から70年代初めにかけて企業買収や新規投資で大規模に拡張、80年代末には約130か国で事業活動を展開するまでとなった。ファイザーと共同販売した自社開発の高脂血症薬「リピターLipitor」(1997発売)が大型薬に育ってきた99年末、アメリカン・ホーム・プロダクツ(現ワイス)による買収が表面化したが、2000年ファイザーの対抗買収により同社に吸収合併された。
[田口定雄]