アオイ科(読み)あおいか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオイ科」の意味・わかりやすい解説

アオイ科
あおいか
[学] Malvaceae

双子葉植物、離弁花類。草本、低木または小高木。葉は単葉で掌状脈をもつ。花は両性で放射相称。花弁は5枚で、つぼみのとき渦巻状に畳んでいる。雄しべは多数、花糸は合着して筒をつくり雌しべを取り巻く。果実は蒴果(さくか)。75属1000種ほどあり、温帯から熱帯にかけて分布する。日本にはフヨウ属、ボンテンカ属、キンゴジカ属などが野生するほか、オクラトロロアオイワタなどの有用植物や、ムクゲブッソウゲなどの観賞植物がある。

[山崎 敬 2020年4月17日]

 APG分類では、アオイ科、シナノキ科、パンヤ科、アオギリ科をまとめてアオイ科としている。世界の温帯から熱帯にかけて230属4300種ほどが分布する。日本には、フヨウ属、ボンテンカ属、キンゴジカ属、シナノキ属、アオギリ属、ノジアオイ属、サキシマスオウ属などが自生する。

[編集部 2020年4月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオイ科」の意味・わかりやすい解説

アオイ科
アオイか
Malvaceae

双子葉植物アオイ目の1科。新旧両大陸の熱帯,亜熱帯地方を中心に約 75属 1000種ほどが知られる。草本植物が多いが,低木種や高木種も含む。葉は互生し,掌状に裂けるものが多い。花は単生または集散花序をつくり,5数性の両性花で片,花弁は5枚。おしべは多数あり,花糸が互いに癒着して特徴ある筒形のおしべ群をつくる。この筒の基部は花弁の基部とも癒合するので,合弁花冠のように見える。子房は上位で,通常は5室に分れ,中軸胎座に胚珠が並ぶ。果実は一部の例外を除いて乾果となり,熟すと開裂する。フヨウ (ハイビスカス) 属 Hibiscusやイチビ属 Abutilonは木本,アオイ属 Malvaなどは草本,ワタ属 Gossypiumには両者がある。ワタ (綿)オクラなどの有用植物や,ハイビスカスなど多くの観賞植物がある。

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世界大百科事典(旧版)内のアオイ科の言及

【アオイ(葵)】より

…徳川家の“葵の紋”のアオイはウマノスズクサ科のフタバアオイであるし,フウロソウ科のペラルゴニウム(テンジクアオイ)がアオイと呼ばれることもある。しかしアオイ科のタチアオイが,また江戸時代以降はフユアオイがアオイと呼ばれていることが多いので,この類について述べる。 フユアオイMalva verticillata L.(英名curled mallow)は中央アジア原産の大型一~二年草あるいは多年草で,観賞,食用または薬用とされる。…

※「アオイ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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