トロロアオイ(読み)とろろあおい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トロロアオイ」の意味・わかりやすい解説

トロロアオイ
とろろあおい / 黄蜀葵
[学] Abelmoschus manihot Medik.
Hibiscus manihot L.

アオイ科(APG分類:アオイ科)の一年草。中国原産。草丈は本来2メートル近くになるが、最近は0.5~1メートルの丈の低い品種が多く栽培されている。葉は互生し、葉柄が長く、掌状に深く裂ける。夏から秋、淡黄色で中心部が濃赤紫色、径15~20センチメートルの5弁花をつける。白花のものもある。花は1日でしぼむが、茎の下位から上位へと順に次々と開く。植物体全体、とくに根に粘質物を多く含み、これを和紙を漉(す)くときの糊(のり)として利用する。また、観賞用ともする。

 6月ころに種子を播(ま)く。糊原料をとるための栽培では、開花・結実させないために、つぼみがついたら先端部を刈り取る。収穫初冬。連作すると立枯病など障害が多く出るので、輪作する。2016年(平成28)の国内生産量は19.44トンで、茨城県が約87%、埼玉県が10%を占めている。

[星川清親 2020年4月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トロロアオイ」の意味・わかりやすい解説

トロロアオイ
Hibiscus manihot

アオイ科の一年草。中国原産で,根に含まれる粘液を和紙製造用の糊に用いるため,また花が大きく美しいので観賞用にも栽培される。茎は直立し高さ1~2mに達する。葉は互生し掌状に5~9深裂し,裂片は狭長または広披針形であらい鋸歯がある。夏秋の頃,茎の上部葉脈または頂部にやや総状に花をつける。花は横向きに開き径 15~20cm,花弁黄色で5枚,底部暗紫色である。1日花であるが次々に新しい花を開き1株で十数花が咲く。和名は根が粘液を含むのをとろろにたとえたもので,この根は薬用にもされる。

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