日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクラ」の意味・わかりやすい解説
オクラ
おくら
okra
[学] Abelmoschus esculentus Moench
アオイ科(APG分類:アオイ科)の多年草。アメリカネリともいう。熱帯では高さ6メートルにもなるが、わずかの霜でも枯死するので日本では一年草として栽培する。高さ1~2メートル、葉は互生し15~30センチメートル、掌状に3~5裂し、長い葉柄がある。夏から秋に葉腋(ようえき)から、乳白色で中心が赤色の直径5~7センチメートルの花を開き、開花時は夜から早朝までで、昼までにはしぼむ。花弁は薄質で5枚、縦筋が多数あり、螺旋(らせん)状に重なり合う。雄しべは多数が合一して単体となり、柱頭は5裂する。莢果(きょうか)は長さ10~30センチメートルで、5稜(りょう)の角(つの)状で先がとがり、表面には硬い短毛をもち、熟すと木質化する。種子は球形で直径5ミリメートル。普通は直播(じかま)きで春に種子を播くが、種子は硬実で発芽には25℃程度の温度を要する。小苗を移植することもできる。開花後2~4日を経て、長さ4~8センチメートルになった軟らかい幼果を収穫する。
[星川清親 2020年4月17日]
料理
花期後数日の若い小さい莢(さや)を種子ごと食用にする。軽く湯がいて輪切りにし、かき混ぜるとぬめりが出て、独特の味わいがある。鮮緑色で、五角形星形の切り口に白くて丸い種子が並び、形もおもしろく美しい。和(あ)え物やサラダにする。ワカメやとろろともよくあい、梅干しの肉で和えても美味である。納豆に混ぜてもよい。てんぷらやフライにもされ、吸い物、スープ、ポタージュにもよい。完熟した種子は煎(い)ってコーヒーの代用にされる。
[星川清親 2020年4月17日]