改訂新版 世界大百科事典 「アオノリ」の意味・わかりやすい解説
アオノリ (青海苔)
緑藻類アオサ科アオノリ属Enteromorphaの総称。また干して食品にした製品もいう。アオノリ属は日本各地の内湾・外海の海岸で,とくに河口近くの遠浅で波静かなところに多く生育する。体は暗緑色または青緑色,管状で内部は中空。管状の体の壁部は一重の細胞層からなる。15種ほど知られ,そのほとんどが食用可能である。とくにスジアオノリ,ウスバアオノリ,ヒラアオノリ,ボウアオノリが食用とされる。これらはアサクサノリに混じって生育する場合があり,そのまま抄(す)きあげたものが〈混ぜノリ〉と称する〈浅草海苔〉の下級品である。混ぜノリは香気は高いが味はよくない。原藻は淡水で洗って日干しする。干しノリのように抄き干したものを〈抄きアオノリ〉,そのまま縄にかけて乾かしたものを〈掛けアオノリ〉,乾燥品をさらにあぶって粉末状にしたものを〈揉(も)みアオノリ〉という。これらは瀬戸内海沿岸で多く製造されていて,とろろ,みそ汁,湯豆腐,めん類,精進料理などの薬味とする。なお,ノリのつくだ煮原料とされるヒトエグサ属の海藻もアオノリとして市販されている。
→ヒトエグサ
執筆者:山口 勝巳+千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報