アステル

百科事典マイペディアの解説

アステル

英国最初のフェミニズム理論家。ニューカッスルの裕福な石炭商人の娘として生まれるが,22歳のときに独立を決意し,ロンドンに居を定める。彼女を一躍有名にした《御婦人方へのまじめな提言》(1694年,1697年)では,中流・上流階級の女性のための全寮制の大学を構想して,そのための資金を裕福な〈御婦人方〉の持参金に求めた。《結婚論》(1700年)においては,結婚とはもっとも専横的な関係に陥りやすい制度であり,女性が不幸な結婚から救われるためには,適切な教育を受ける必要があると述べている。一方でアステルは熱心な国教徒でもあり,信仰の哲学的根拠について論じてジョン・ロックに反駁した。論客としてのアステルの存在の大きさは,これに対するジョナサン・スウィフトの攻撃などからもうかがわれる。晩年には年金生活者の子供のための学校を設立した。1970年代末に著作が再版され,再評価の気運が高まった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

アステル【Mary Astell】

1668‐1731
イギリスの文筆家。ニューカスルの商人の娘。おじの牧師から教育を受け,長じてチェルシーに移り,知的交友を得て文筆生活に入る。代表作《女性へのまじめな提言》(1694,97)の中で,女性の知的訓練を軽視する当時の風潮に反対して,女性の教育向上のための一種の大学設立を主張した。また,《結婚論》(1700)においても,女性の不幸な結婚からの唯一の救済策は女性が適切な教育を受けることにあると論じた。【河村 貞枝】

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

人望

信頼できる人物として、人々から慕い仰がれること。「人望を集める」「人望を失う」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android