アパラチア炭田(読み)あぱらちあたんでん(その他表記)Appalachian Coal Fields

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アパラチア炭田」の意味・わかりやすい解説

アパラチア炭田
あぱらちあたんでん
Appalachian Coal Fields

アメリカ合衆国東部、アパラチア山脈に沿って北東から南西に分布する炭田。北はペンシルベニアおよびオハイオ州に始まり、ケンタッキー、ウェスト・バージニア、テネシー各州を経て、南端アラバマ州北部に達している。現在および過去の石炭生産量からみて、アメリカにおいてもっとも重要な炭田の一つである。炭質は瀝青炭(れきせいたん)で、東部区域は無煙炭または半無煙炭、中部区域になると低揮発分から高揮発分に変化し、西部区域では高揮発分炭田となる。採掘露天掘りおよび坑内掘りが広く採用されており、採掘された石炭は、発電用、製鉄用その他の製造工業に使用されている。埋蔵炭量は1995年時点で、坑内掘り対象が約800億トン、露天掘り対象が約300億トンと評価されている。

[木下重教・樋口澄志]

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改訂新版 世界大百科事典 「アパラチア炭田」の意味・わかりやすい解説

アパラチア炭田 (アパラチアたんでん)
Appalachia

ペンシルベニア炭田ともいう。アメリカ東部のペンシルベニア州からテネシー,アラバマ州に至る広大な炭田である。石炭は一般に古生代石炭紀の地層に賦存するが,この層は数百mの厚さをもち,砂岩,シルト岩,ケツ岩,石炭,下盤粘土,石灰岩からなっている。地殻運動による褶曲,断層とそれに引き続いて生じた浸食作用のために炭層の変化が激しいが,良質の強粘結性原料炭から無煙炭までを生産している。埋蔵量約2400億tといわれる。古くから開発された炭田で,ここの石炭はピッツバーグ中心とする工業地帯原動力となり,また日本にも輸出されている。
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百科事典マイペディア 「アパラチア炭田」の意味・わかりやすい解説

アパラチア炭田【アパラチアたんでん】

米国東部にある世界的大炭田。ペンシルベニア炭田とも。ニューヨーク州南西部からペンシルベニア,ウェストバージニアを経てテネシー,アラバマ州に広がり,質の高い粘結性歴青炭から無煙炭までを生産,埋蔵量約5000億tで米国で最も重要な炭田。ピッツバーグを中心にした重工業発展の原動力となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アパラチア炭田」の意味・わかりやすい解説

アパラチア炭田
アパラチアたんでん
Appalachian coal fields

アメリカ合衆国東部,アパラチア山脈西麓に分布する炭田の総称で,ペンシルバニア州からアラバマ州にいたる広大な地域を占める。埋蔵炭量約 3070億t。中心となるペンシルバニア炭田はアメリカ合衆国最大の炭田である。瀝青炭,無煙炭を産し,東部工業地帯発展の源泉となった。

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世界大百科事典(旧版)内のアパラチア炭田の言及

【ウェスト・バージニア[州]】より

…山がちの地形条件は植民の障害となったが,南北戦争後に鉄道が開通し鉱物・林産資源の開発が進んだ。特にアパラチア炭田の石炭(おもに歴青炭)は重要で,今日もなお全米有数の産出量を誇る。その他天然ガス,石油,粘土,セメント,岩塩など鉱業は州経済に重要な役割をもつ。…

※「アパラチア炭田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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