アブサロム,アブサロム!(英語表記)Absalom, Absalom!

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アブサロム,アブサロム!
Absalom, Absalom!

アメリカの小説家ウィリアム・フォークナーの小説。1936年刊。19世紀初頭,ウェストバージニア山間部に生まれたプア・ホワイト,トマス・サトペンの野望破滅を現代の語り手による聞き書きという複雑な構成のうちに描いたフォークナーの代表作の一つ。階級差別を知らされた純朴な少年サトペンは南部貴族に列するための「大計画」をいだき,着々と実行していくが,その計画の非人間的要素のために,白痴の黒人少年ただ1人を残してサトペン一家は死に絶える。宿命論的な物語のうちに,作者は南部の罪の問題を追求している。

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