アミロイド
アミロイド
amyloid
多くの種子中の子葉細胞壁に含まれ,ヨウ素反応で青色を呈するデンプン類似の水溶性多糖(語源:amylose+eidos(resemblance))で,コンゴーレッド染色で,偏光下に重屈折性を示すタンパク質性の繊維の重合体をさす.たとえば,タマリンド種子粘質物の多糖は(1→4)結合したβ-D-グルコピラノースの直鎖に C6 位で1個のα-D-キシロピラノース基と2-O-β-D-ガラクトピラノシル-α-D-キシロピラノース基が結合した構造を有する.そのX線図はセルロースⅡ再生セルロースに類似する.セルロースを硫酸処理すると,一種のアミロイドに部分加水分解されるため,硫酸紙の表面はアミロイドを多く含む.生物・医学分野では,生体に見られる沈着物質の総称で,タンパク質を主成分とし,繊維状のものが多い.アルツハイマー病に関連したものは,アミロイドβタンパク質(Aβ)とよばれる.Aβは,細胞膜貫通型の前駆体から細胞外領域が切り出されて生じるフラグメントで,凝集しやすく,凝集体は強い細胞毒性を発揮する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
アミロイド
アミロイドタンパク質,アミロイド繊維,アミロイド物質などとも。アミロイドーシスと呼ばれる代謝障害において,全身の臓器に沈着する繊維状の糖タンパク質。免疫グロブリンや血清アルブミンなどに由来するポリペプチド断片,各種の糖タンパク質の変性体などからなるといわれるが,不明な点が多い。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
アミロイド
アミロイドーシスとよばれる疾病の場合に細胞外に沈着する物質で,特に網内系組織に多い.主成分はタンパク質で,光学顕微鏡では均一にみえるが,実体は不均一な線(繊)維状の沈着物である.アルツハイマー病の病因との関係で注目されている.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
アミロイド【amyloid】
フィルヒョーが人体の種々の組織内に見いだして命名した物質で,主として病理形態学の分野で用いられてきた言葉である。ヨードと反応してデンプン様に青変するため,類デンプンとも呼ばれる。光学顕微鏡下では,エオジン好性の均質無構造なガラス状物質に見え,コンゴ赤染色陽性を示す。電子顕微鏡で見ると,径約10nm,長さ100~500nmの分枝のない細長い繊維の集積で,X線回折法では交差性の折りたたみ構造をなし,またコンゴ赤染色標本を偏光顕微鏡で観察すると緑色偏光複屈折性を示す。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報