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アメリカインディアン音楽 アメリカインディアンおんがく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アメリカインディアン音楽
アメリカインディアンおんがく

南北アメリカ大陸の先住民は全体として一つの大きな音楽文化圏を構成しているが,大まかには,エスキモー (アラスカカナダ北部) ,アメリカインディアン (カナダ南部,合衆国メキシコ北部) ,インディオ (中央アメリカ南アメリカ) の3つのグループが認められ,それぞれがさらに言語,習慣の異なる多くの民族に分れている。その音楽は,舞踊とともに,共同体の娯楽的な行事,病気や天変地異に際しての呪術的行為,民族間の戦闘に関する儀式などの形で,それぞれの文化継承に貢献してきた。したがってレパートリーの大半は集団演奏によるものであり,円陣形に行進しながら全員が歌ったりガラガラを打鳴らす一方で,1つの大きな太鼓を何人もの人が囲んで一斉にリズムを奏するというような形態をとることが多い。また,子守歌,恋歌,フルート演奏などの個人あるいは少人数の静かな音楽ももつ。特にきわだった音楽特色から,以下のような地域的な領域に区分することができる。 (1) 北西海岸インディアン (カナダのブリティシュコロンビア州と合衆国のワシントン州)  拍節の自由な狭い音域の波状旋律型を好む。 (2) ユーマ・インディアン (合衆国南西部)  反復の多い旋律をゆったりした発声で歌い,しかも曲の進行につれて音域位置を意図的に少しずつ上昇させていく習慣をもつ。 (3) 合衆国砂漠地帯 (ネバダ州,ユタ州) のインディアン 対になった旋律型の歌と,民族の歴史を長々と語る叙事詩歌唱とが有名。 (4) アサバスカ諸族 (カナダと合衆国にまたがる中央部,ナバホ族,アパッチ族を含む)  近隣の他の民族から楽器や音楽語法を借用する傾向が目立つ。たとえば広音域の波状旋律型をファルセットや鼻音的発声で歌ったり,リズミカルではあっても異なる拍節韻律を急激に交替させたりする特徴のなかに外来の要素が部分的に織込まれている。 (5) 合衆国草原地帯を中心とした平原インディアン (ブラックフット族,クロー族,コマンチ族,カイオワ族など) とプエブロ・インディアン (ホピ族,ズニ族など)  段階的に下行する旋律と低音を持続させる部分とを交替させる2部形成を,反復リズム型に乗せて張りつめた発声で歌う。 (6) 合衆国東部のインディアン 白人の移住が早かったので多くは知られていないが,下行旋律と交唱形式をもっていたことがわかっている。北アメリカのインディアンは指定居留地 (保護地) に閉じ込められた形で黒人とは違った意味で差別されてきたので,それぞれの世界にこもる傾向にあったが,新しい傾向として,連帯意識が生れ,パウワウと呼ばれる大集会や,新興宗教の集りなどの場で,民族の違いをこえた汎インディアン的音楽文化をつくる努力がみられる。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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