ファルセット(読み)ふぁるせっと(英語表記)falsetto 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファルセット」の意味・わかりやすい解説

ファルセット
ふぁるせっと
falsetto 英語
falsetto イタリア語

声楽における発声技法一種。男性歌手が声域の上限を広げるために用いる高い声。日本では一般に「裏声」とよばれる。16、7世紀のイギリスでとくに重要な発声技法で、これを売り物にする歌手も多く存在した。彼らはメイル・アルトmale altoまたはカウンター・テナーcounter tenorとよばれ、女性のアルトと同じ声域を出していた。しかしカストラート(少年時の声域を保つため去勢した男性歌手)とは異なり、声量の面で力強さを欠くため、今日ではテノール歌手がときおりこの技法を用いる程度である。ポピュラー音楽の世界では男性ソウルシンガーが好んでこの技法を用い、民俗音楽の分野ではスイスヨーデル、日本の民謡ホーハイ節』などに使われている。

[アルバレス・ホセ]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファルセット」の意味・わかりやすい解説

ファルセット
falsetto

音楽用語。裏声,仮声のこと。男声の最高音域の声区声帯を部分的に震わせることによって得られる響きで,男声アルト,カウンターテナーとも呼ばれる。ルネサンス時代には合唱曲ソプラノやアルトが好んでファルセットで歌われたが,この習慣は今日イギリスのみに残っている。アルプス地方のヨーデルもファルセット唱法を用いる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報