改訂新版 世界大百科事典 「クロー族」の意味・わかりやすい解説
クロー族 (クローぞく)
Crow
北アメリカ大平原地方北部のミズーリ川上流域に居住するインディアン。言語はスー語族に属する。ミズーリ川中流域のヒダツァ族から分離したといわれる。トウモロコシ,カボチャ,マメ,タバコの栽培とバイソンの狩猟がおもな生業であった。狩猟具は弓矢で,わな,落し穴や崖から追い落とす方法もとられた。野いちご,根茎類の採集も行った。住居は円錐形のティピを使用した。衣類はバイソンや野生の羊の毛皮を材料にし,シャツ,ローブ,すね当て,モカシンなどに加工した。ヤマアラシの針から作ったビーズや交易で入手した海産の貝などで装飾した。運搬用具は犬や馬に引かせるトラボイであった。おもな道具には柳製の背当て,木・角製の容器,ペミカン(干肉の粉末を主材料とした保存食糧)用の石槌などがあった。胞族(氏族の結合体)組織を有し,胞族を構成する母系氏族が外婚単位になった。バンド組織も存在し,軍事をつかさどる結社が治安を維持した。
執筆者:小谷 凱宣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報