デジタル大辞泉 「アルツハイマー病」の意味・読み・例文・類語
アルツハイマー‐びょう〔‐ビヤウ〕【アルツハイマー病】
[補説]アルツハイマー型認知症のことをアルツハイマー病という場合もある。
脳内にアミロイドベータやタウというタンパク質がたまり、神経細胞が死んでいく病気。次第に記憶や判断力が低下し、着替えや食事など日常生活にも支障を来す認知症に進んでいく。日本の高齢認知症患者は2025年に471万人と推計され、6~7割をアルツハイマー病が占める。残った神経の働きを助ける薬が長く使われてきたが、アミロイドベータを除去する薬が最近登場した。
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出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
アルツハイマー病は1907年、55歳で亡くなられた女性患者さんに関するアルツハイマー博士の論文にちなんで名づけられました。
それ以後、アルツハイマー病は65歳未満の人に起こる病気とされ、高齢者にみられる認知機能障害とは区別されていました。しかし30年ほど前から、65歳未満の若年期のものと高齢者に起こるものが脳内の病変に共通点の多いことから、両者をアルツハイマー病とまとめて呼ぶようになりました。ただ、介護などの面では若年者と高齢者とは対応が異なるため、最近では若年期を分けてとらえることもあります。
記憶などの認知機能の障害が症状の中心ですが、それ以外にも
アルツハイマー病ではアセチルコリンという神経伝達物質が減っていますので、それを補う薬である塩酸ドネペジル(アリセプト)が使用されるようになりました。また、さまざまのケアなども治療の一環として行われます。
この病気の原因は完全には明らかにされていません。
初めは、新しいことが覚えられないと訴える人がいちばん多いようです。そのため今までできていたことが困難になり、自信をなくし、やる気を失い、抑うつ状態に陥ることもあります。また、肩や腰の痛みを不治の病と思い込むような
その後、「今日は何月何日か」がわからないなど、時間が認識できない見当識の障害が現れます。物の名前が出てこない、臭いや味がわからないとか、約束どおりに物事を実行できなくなるので、日常生活を送るうえで困ることが増えてきます。
さらに進むと、新しいことだけではなく古いことも忘れます。言葉の理解ができず、道具がうまく使えないとか、着衣ができないこと(着衣失行)もあります。また、道順がわからなくなり、家に帰れなくなります(徘徊)。
実は、介護をする人が困るのは先に述べた高次脳機能障害よりも、行動や心理的な異常なのです。暴力や暴言、あるいは大便を壁に塗る(
いちばん多いのは「物を盗られた」(物盗られ妄想)とか「夫が浮気をしている」(嫉妬妄想)など、ありもしない事柄を妄想する心理的な異常です。
感情的にも不適切な反応があり、興奮する、不安になる、無関心で何もしない(無為)、また逆に楽しそうである(多幸)人もみられます。少しのことで動揺する(
日常生活では電話に出ること、外出して買物の支払いができなくなってきます。薬の服用ができなくなり、入浴や食事、排泄も一人では難しく、介護を拒否することもあります。自動車運転が危険になりますので注意が必要です。
夜間の睡眠が十分にとれず、夜中に泥棒が入ったなど、ありもしないことを信じて(妄想)、家族を起こしてまわることもあります(夜間せん妄)。誰も相手にしないと自分が見捨てられたと思います(見捨てられ妄想)。
高度のアルツハイマー病では無為・無動が著しくなり、命令や刺激に対する反応性が悪くなります。寝たきりになることもあります。ただ、反応が少ない人でも、感情は豊かに保たれていて、見守る側が驚くこともあります。
最初に行うのは、記憶に重きをおいた認知機能の検査です。よく利用されるのが長谷川式簡易知能評価スケールとミニメンタル・ステート検査(MMSE)です。高度認知症の人にはSIBという検査も使用します。
日常生活に関する検査としては臨床認知症評価尺度(CDR)があり、記憶、見当識、判断力、問題解決能力、社会適応、家庭状況、趣味、関心、介護状況を5段階で評価します。
機能評価ステージ(FAST)は物忘れ、会話、旅行、家計、着衣、入浴、排便、歩行の程度より、軽度、中等度、高度に分類します。
介護をするうえで問題となる行動・心理症状は、神経精神情報詳細(NPI)により評価します。妄想、幻覚、興奮、脱抑制、不安、多幸、無為、異常行動などについて評価します。
アルツハイマー病では脳が萎縮しますから、X線CTやMRIで脳の形を検査します。とくに脳の
脳の血の巡り(脳血流)が悪い部位をコンピュータ処理による画像表示で検査したり、アルツハイマー病の発病と関係の深い老人斑アミロイドの蓄積を発見する方法もあります。
また、家族性に発病するアルツハイマー病の人については承諾を得たうえで、遺伝子検査をすることもあります。もちろん個人情報の保護には十分配慮されています。
アルツハイマー病の診断は特定の検査だけでは難しいので、図20のように順序を踏んで行われます。まず、物忘れがあれば軽度認知障害ではなくて広義の認知症であることを確認します。そのなかから身体疾患や脳外科的疾患を除外診断して、狭義の認知症とします。
狭義の認知症から脳血管性認知症、プリオン病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、ほかの変性型認知症を除外して初めてアルツハイマー病が疑われます。
アルツハイマー病の治療薬として認可され、現在市販されている薬は塩酸ドネペジル(アリセプト)のみです。アルツハイマー病の人の脳ではアセチルコリンを作る酵素のはたらきが弱く、アセチルコリンが減ってきます。塩酸ドネペジルはアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼのはたらきを止めるように作用し、減ったアセチルコリンを増やします。
塩酸ドネペジルは日本で開発された薬ですが、最初は米国でアルツハイマー病に対する効果が証明されました。3年後に日本でも認知機能、日常動作や生活の質が改善することが認められ、1999年に認可されました。
最初に認められたのは、軽度~中等度のアルツハイマー病の人への3㎎と5㎎錠でしたが、2007年には高度の人に10㎎錠が認可されました。
塩酸ドネペジルは認知障害のみならず、家族や介護者の印象評価の面や、一部の精神症状や行動障害にも効果がみられると報告されています。
塩酸ドネペジルはすぐ脳に入りますが、時に消化器の副作用が現れます。吐き気がある、嘔吐する、唾液が出る、脈が遅くなる、汗が出るなどと訴える人もあります。消化器の副作用には胃薬を服用します。ただし、脈が遅くなりますから、長風呂は避けてください。
投与にあたっては、まず塩酸ドネペジルを1日3㎎、1~2週後に5㎎に増量します。高度のアルツハイマー病には10㎎を投与することもあります。
外国では塩酸ドネペジル以外のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬として、ガランタミンとリバスチグミンがアルツハイマー病に使われています。しかし、日本での試験は終わりましたが、認可には至っていません。
さらに、アセチルコリンのはたらきを増し、グルタミン酸のはたらきを抑えるメマンチンという薬も外国で使われていますが、日本では試験が終わったばかりで、まだ許可されていません。このような違いは残念なことです。
今、世界中で
現在は、塩酸ドネペジル以外にアルツハイマー病の人に使用できる薬がないため、他の病気に使われている薬を使うこともあります。しかし、それらの薬には副作用が多いため、できるだけ短期間、少量を、慎重に投与すべきです。
妄想や徘徊などの行動・心理症状がある場合、非定型抗精神病薬といわれるクエチアピン(セロクエル)や、漢方薬である
ただし、約3カ月をめどにして薬を中止するのが大切と思われます。長く薬を続けると高齢者では神経系や循環器系などに副作用が現れて、重篤な場合は死につながることもあるからです。
抑うつや睡眠障害のあるアルツハイマー病の人には、塩酸トラゾドン(レスリン、デジレル)などのセロトニンの取り込みを抑える抗うつ薬がよいと思います。睡眠障害のある認知症の人には通常の睡眠薬はあまり効きません。
薬の効果には限界があるので、介護保険などにより、ケアなどの非薬物療法が行われています。非薬物療法は薬と違って、ケアする人のやり方によって差が出ます。また、環境の整備も症状の改善には大切です。
上手なやり方としては①その人らしさを大切にする、②楽しく笑顔が出るようにする、③本人の能力を発揮させる、④安全に行う、⑤慣れ親しんだ生活を継続させることがあげられます。
その際、認知症ケアマッピング(ケアサービスの質を評価し、改善する手法)によりケアなどの効果をチェックするとよいでしょう。認知症の人の状態はケアの方法の良否を写す鏡であるといわれ、よいケアをすると笑顔が見られます。効果があると思われる非薬物療法を次に掲げます。
1.バリデーションセラピー
認知症の人の混乱した行動の裏には必ず理由があると考え、その異常を受け入れ、共感をもって対応します。会話の終わりの言葉を繰返すとコミュニケーションがとりやすくなります。
2.リアリティーオリエンテーション
時間や場所がわからないで不安に思っている人にそれらを教えると、安心感がもどることがあります。
3.回想法
昔の話や昔なじんだ作業をすると感情的な安らぎを得て自信がもどり、生き生きするようになります。
4.音楽療法やアートセラピー
音楽を聴いて楽しむ、楽しく歌うとか、絵や彫刻、粘土細工を楽しむと症状が改善します。
5.認知刺激
初期の認知症の人にはトランプ、オセロ、計算などの知的な刺激が認知機能を高めます。
6.運動療法
運動を続けると、認知機能が高まり、認知症の予防にも有用という報告があります。
それ以外にも、マッサージや香りを楽しむアロマセラピーもよく行われています。これらの治療法を決して無理強いすることなく、失敗しても叱らないことが大切です。間違いを指摘したり、叱ったりすると症状が悪くなります。
物忘れは高齢者で誰にもみられますが、それにより本人や周囲の人に迷惑がかかるようですと認知症の恐れがあります。しかし、意識障害などの可能性もありますので、医師に相談して正確に診断してもらってください。
アルツハイマー病ならば非薬物療法により、まず改善を図ってください。公的支援を利用して、介護保険やデイサービスなども利用してください。
次に、塩酸ドネペジルを3㎎→5㎎の順で投与してください。行動・心理症状がある場合はクエチアピンなどの非定型抗精神病薬や抑肝散などを少量、短期間、慎重に使用してください。
治療の概略を他の認知症とともに図21に示します。
中村 重信
アルツハイマー病は、1906年にドイツのアルツハイマーによって初めて報告されました。最初の症例は51歳の女性で、
アルツハイマー病では、多くは物忘れで始まります。それが徐々に目立つようになり、
アルツハイマー病については、1980年ごろの「コリン仮説」以来の活発な研究にもかかわらず、いまだ原因は不明のままです。「コリン仮説」というのは、アルツハイマー病の大脳ではアセチルコリンという神経伝達物質が減少しているために起こるという仮説ですが、原因解明には至りませんでした。しかし、これは治療上大きな貢献をしました。現在、日本で唯一使用されているドネペジル(アリセプト)という薬剤は、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを阻害することにより、脳内のアセチルコリンを増やす作用をもっています。
アルツハイマー病の脳には、ベータアミロイドと呼ばれる蛋白からなる
また、家族性アルツハイマー病ではいくつかの遺伝子異常が明らかにされていますが、大部分を占める
多くは物忘れで始まります。同じことを何回も言ったり聞いたり、置き忘れ・探し物が多くなって、同じ物を買ってきたりするなど記憶障害が徐々に目立ってきます。それとともに、時や場所の
早いうちは物忘れを自覚していますが、徐々に病識も薄れてきます。そのうち、物盗られ妄想や昼夜逆転、夜間せん妄(もう)、徘徊、
さらに進行すると、衣類がきちんと着られない、それまでできていたことができなくなるなど、自分のことができなくなり、種々の介助が必要になってきます。また、トイレの場所がわからなくなったり、外出しても自分の家がわからなくなってきます。さらに、自分の家族がわからなくなり、動作が鈍くなり、話の内容もまとまらなくなります。
そして、歩行もできなくなり、食事も自分でできなくなり、全面的な介助が必要になって、ついには寝たきりとなり、肺炎などの合併症で亡くなってしまいます。
進行のしかたは人により異なりますが、数年から十数年の経過をとります。
認知症を診断したあと、特徴的な臨床像(多くは60歳以上に起こる記憶障害を中心とする緩やかに進行する認知症、早期の病識の欠如、取り繕いを主体とする特有な人格変化)が診断に役立ちます。
補助診断で最も有用な検査は脳画像で、CTやMRIでは
最近では早期診断が重視されており、
薬物療法として現在唯一使用できるのはドネペジル(アリセプト)だけですが、これは進行を遅くする効果を期待して使用されています。同じコリンエステラーゼ阻害薬のガランタミンとリバスチグミンという新薬が治療試験(治験)を終えています。また、ベータアミロイドをとり除くワクチンの開発が進められています。
一方、非薬物療法もいろいろな試みがなされています(認知症性疾患の項を参照)。これらも進行を遅くしたり、BPSDを軽減するのに役立つことが期待されています。
アルツハイマー病が疑われる場合には、かかりつけ医、できれば専門医の診察を受けるのがよいと思います。
小阪 憲司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
大脳の変性を原因とし、認知症の原因としてもっとも多い疾患。ADと略称される。本疾患名は、最初に本症を報告したドイツ人医師アルツハイマーAlois Alzheimer(1864―1915)に由来する。
認知症の原因となる疾患は70以上もあるといわれるが、アルツハイマー病はその3分の2程度を占め最多と考えられている。また、本来アルツハイマー病とは60歳(もしくは65歳)以下で発症するいわゆる若年性のものをさしたが、最近ではそれ以上の年齢で発病する「アルツハイマー型認知症」も含めてアルツハイマー病とよばれることが少なくない。したがって本稿でも両者を区別せず「アルツハイマー病」として解説する。
[朝田 隆 2023年5月18日]
アルツハイマー病では多くの症状がみられるが、記憶などの「認知機能の障害」、BPSDといわれる「行動・心理症状」、そして排泄(はいせつ)や着脱など「日常生活動作の障害」と大きく3分類できる。アルツハイマー病は徐々に進行するが、直接的な死因になることはない。治療には、これまで症状の進行を遅らせる治療薬が用いられてきたが、近年では根本治療薬(正式には疾患修飾薬という)の開発に世界中でしのぎが削られている。
なお、アルツハイマー病を含めた認知症患者の介護者はときに大きな負担を強いられることから、患者本人にも介護者にも介護保険のサービスなどによる支援が重要であることが知られている。
[朝田 隆 2023年5月18日]
厚生労働省の全国調査によれば、2012年(平成24)10月時点で、65歳以上の人口における認知症の有病率は15%で、総数は462万人と推定された。予備軍である軽度認知障害(MCI)の人の数をあわせると、65歳以上の人口の3割にあたると考えられた。また認知症者の8割は80歳以上であり、その8割は女性であることも重要である。なお、認知症の最大の危険因子は加齢であり、65歳以降、年齢が5歳あがるごとに認知症の危険性は倍増していく。したがって90歳を超えると50%以上の確率で認知症に罹患(りかん)することになる。それだけに、今後さらに平均寿命が延びれば認知症者もさらに増加すると考えられている。なお、ここにあげたのは認知症全体での数字である。既述のように、認知症の3分の2がアルツハイマー病なので、アルツハイマー病に限れば、上記の数字の3分の2ととらえればよいだろう。
[朝田 隆 2023年5月18日]
アルツハイマー病の病因はいまだ不明ながら、患者の脳に多くみられる二つの物質が注目されている。まず「アミロイドβ(ベータ)(Aβ)」とよばれるタンパク質である。Aβがその前駆タンパクから切り出され、それらが集まってオリゴマーという段階を経て、雪だるま式に大きくなる。ついには老人斑(はん)とよばれる塊として脳内に凝集する。またこのプロセスに続発して、リン酸化された「タウ」(タンパク質)から構成される神経原線維変化(NFT)を生じるが、そこから脳の神経細胞死へ至るとも考えられている。したがって開発中の疾患修飾薬の多くはAβとタウを治療標的にしている。
[朝田 隆 2023年5月18日]
臨床では、医師の診察を基本に、世界的に確立した診断基準等にのっとって診断がなされる。診断の要点は「進行性の認知機能低下により生活の自立が困難になること」である。検査としては、記憶力など神経・心理学的な検査、またMRIや脳血流などをみるための脳画像検査等が重要である。加えて、バイオマーカーとよばれる脳脊髄(せきずい)液中のAβ減少やNFTの増加等が重視され、これらが認められると診断の確度が高まる。なお、確定診断は死後脳の病理学的検査を行う以外に手段がない。
[朝田 隆 2023年5月18日]
アルツハイマー病の臨床経過は、初期・中期・後期に分けて論じられる。初期の特徴は健忘、中期ではBPSD、後期は寝たきりなど身体機能の低下とまとめられる。なお近年では、根治療法となる可能性を有する薬剤の出現により、それらの有効性があると考えられる前駆期(初期よりも前の段階)や、さらにその前段階も注目されている。
初期から死亡までの経過年数について、近年の世界的なデータでは平均で7~6年と報告されている。
[朝田 隆 2023年5月18日]
薬物療法
これまでアルツハイマー病に用いられてきた薬剤は「対症療法薬」とよばれ、4種類あり、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)に分けられる。いずれも症状の進行を遅らせる働きをもつ。
「疾患修飾薬」としては、アメリカでは2021年にアデュカヌマブが、2023年にはレカネマブが承認された。これら2剤はいずれもAβを治療標的にした薬剤である。日本でも2023年(令和5)1月にレカネマブについて国に承認を求める申請が行われ、9月に承認された。
非薬物療法
根治が期待できる薬物療法が存在しない現状では、効果的な非薬物療法(心理・社会的な治療アプローチ)により薬物療法を補って治療効果を高める必要がある。
アルツハイマー病を含む認知症への非薬物療法の標的は、認知・刺激・行動・感情の四つに分類される。それぞれ、リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)、芸術療法、行動療法、回想法などの具体的なアプローチが行われている。
[朝田 隆 2023年10月18日]
認知症の介護とは、患者と介護者が相互に反応しあう過程である。それを踏まえて、どのようにして患者と家族に平穏な生活をもたらすかが認知症医療の大切な課題である。まず、ケアの場面で介護者に求められる基本的な態度としては、「簡潔な表現や指示」「穏やかで支持的な態度」「当事者ができないことに直面させないこと」などがある。また、介護保険制度によるさまざまなサービスが重要だが、デイ・サービスやショートステイ、またホームヘルパーなどの活用がその代表的な例である。加えて、家族会や当事者の会が重要だという認識が高まっている。
[朝田 隆 2023年5月18日]
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…また,感情・意欲障害が治療により軽快すると,知能低下が多少改善される場合もある。
[痴呆の種類]
痴呆を示す疾患は種々あるが,40歳代で発病し急速に進行するものには初老期痴呆という脳の変性疾患(アルツハイマー病,ピック病)がある。また,30歳代で発病し,慢性進行性に経過するハンチントン舞踏病,50歳代に発病するパーキンソン症候群などの変性疾患も痴呆をきたす。…
※「アルツハイマー病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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