認知症の行動・心理症状を指す。認知症患者は多かれ少なかれBPSDが出現する。非常に怒りやすくなったり、攻撃性が激しくなったりする。「物
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
認知症に伴う行動的、心理学的障害。behavioral and psychological symptoms of dementiaの略。国際老年精神医学会によるBPSDの定義(1999年)では、「認知症者にしばしば生じる知覚認識、または思考内容、または気分あるいは行動の障害による症状」とされる。かつては「行動障害behavioral disturbance」といわれたものが、当事者や家族の思いを尊重してBPSDと改称された歴史がある。
認知症でみられるさまざまな症状は、便宜的に「認知機能の低下」、「日常生活動作(activity of daily living:ADL)の障害」、そしてこの「行動・心理症状(BPSD)」の三つに大別されることがある。このようにBPSDは、認知症の基本的な症状の一つといえる。
BPSDの代表的な評価尺度にBEHAVE-AD(Behavioral Pathology in Alzheimer's Disease)がある。その内容は、(1)妄想観念、(2)幻覚、(3)行動障害、(4)攻撃性、(5)日内リズム障害(昼夜逆転など)、(6)感情障害、(7)不安および恐怖、の7カテゴリーに分けられた25項目からなる。
三大別した認知症の症状のうち、認知機能は認知症の進行とともに悪化する。しかしBPSDは、認知機能障害が比較的軽く身体機能もある程度残っているステージでもっとも活発化しやすい。また一方で、BPSDの有無や強さが、家族介護が継続できるか否かを決める最大の因子だとされる。家族介護者は認知症の第二被害者という表現がある。つまり、日常生活において家族が患者を手助け・教示することは介護負担につながる。しかし、たとえこれらが軽くても、暴言や暴力などBPSDが激しいと家族は介護負担に耐え切れなくなり、患者の介護施設への入所や入院につながるという意味である。
なお、認知機能の障害を認知症の「中核症状」とよぶのに対して、BPSDは「周辺症状」とよばれることがある。しかし認知症で、認知機能障害が医学的に認知症の中核とされるなら、BPSDは家族の絆という次元での要をなすものである。
[朝田 隆 2022年9月21日]
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