アルバース(読み)あるばーす(その他表記)Josef Albers

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルバース」の意味・わかりやすい解説

アルバース
あるばーす
Josef Albers
(1888―1976)

アメリカの画家。アルベルスともよばれる。ドイツのボトロップに生まれる。ベルリンエッセンの美術学校に学んだのち、バウハウスを卒業し、マイスター(教師)となる。キュビスム構成主義、またグループ「ブリュッケ(橋)」の影響を受ける。1933年アメリカに渡り、ブラック・マウンテン大学、エール大学で教える。即興的あるいは計画的な方法による実験を行うが、視覚の相対性という考えにたって、基本的な形体の組合せのなかでの色彩表現を探求した。代表作に『正方形礼賛』の連作がある。また絵画のほかに、グラフィック・アート、ガラス、ブリックブロンズなどを用いた作品を制作している。コネティカット州ニュー・ヘブンで没す。

藤枝晃雄

『ジョセフ・アルバース著、白石和也訳『色彩構成――配色による創造』(1972・ダヴィッド社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「アルバース」の意味・わかりやすい解説

アルバース
Josef Albers
生没年:1888-1976

アメリカの画家,デザイナー。ドイツのボットロープに生まれる。ミュンヘン美術アカデミーでF.vonシュトゥックについて学び,表現主義の影響の強い木版画を制作。次いで1920年バウハウスに入学し,さらにその教師となり,ガラス絵においてはじめて正方形の形体による表現を試みる。33年バウハウス閉鎖に伴いアメリカに渡り,ノース・カロライナのブラック・マウンテン・カレッジイェール大学(建築・デザイン科長)で教鞭をとるかたわら,形体と色彩,その相互関係の綿密な探求を通して《正方形賛歌Homage to the Square》シリーズを生み出す。正方形ないし矩形という基本形体の構成から成る彼の絵画は,幾何学的抽象の一到達点を示すとともに,60年代に登場してくる新しい抽象絵画(カラー・フィールド・ペインティングミニマル・アート)の先駆ともなった。色彩の配列による視覚的効果の探求という点では,オップ・アートにつながる側面ももっている。
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百科事典マイペディア 「アルバース」の意味・わかりやすい解説

アルバース

ドイツ出身,米国の画家。ボットロープ生れ。バウハウスに学び,後に基礎過程の講義を受け持つ。1933年,バウハウスがナチスによって閉鎖された後に米国に移住。大学や美術学校での講演や作品発表を通しバウハウスの思想を初めて米国にもたらした。平面における形態と色彩の関係が視覚や知覚に及ぼす効果を理論的に研究し,抽象絵画の三次元的奥行を純粋な知覚作用として追求した。1950年代から始まる《正方形讃歌》シリーズは,正方形のなかの正方形という単純化された形態が色彩によってどのように奥行きを生み出すかという研究を通して生まれた作品群である。ミニマル・アートコンセプチュアル・アートオプ・アートなど1960年代の動向に大きな影響を与えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルバース」の意味・わかりやすい解説

アルバース
Albers, Josef

[生]1888.3.19. ウェストファーレン,ボットロプ
[没]1976.3.25. コネティカット,ニューヘーブン
アメリカの画家,版画家,デザイナー。ドイツに生れ,ワイマール,デッサウ,ベルリンのバウハウスで教え,ガラス,家具のアトリエを主宰。 1926年合板の曲げ細工による椅子を発表。 33年渡米,39年までノースカロライナのカレッジで教えたあと,50~60年エール大学芸術学部長。絵画の代表作は『正方形へのオマージュ』の連作。明確な形と明るい色彩による幾何学的抽象を描いた。

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