アンデルセン(英語表記)Hans Christian Andersen

デジタル大辞泉 「アンデルセン」の意味・読み・例文・類語

アンデルセン(Hans Christian Andersen)

[1805~1875]デンマークの童話作家・小説家・詩人。創作童話で世界的に有名。小説「即興詩人」「絵のない絵本」、童話「親指姫」「マッチ売りの少女」など。デンマーク語アナセン

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精選版 日本国語大辞典 「アンデルセン」の意味・読み・例文・類語

アンデルセン

  1. ( Hans Christian Andersen ハンス=クリスチャン━ ) デンマークの童話作家・小説家。イタリア旅行印象体験に基づく小説「即興詩人」により文名をあげる。著に「絵のない絵本」「人魚姫」「マッチ売りの少女」など。(一八〇五‐七五

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改訂新版 世界大百科事典 「アンデルセン」の意味・わかりやすい解説

アンデルセン
Hans Christian Andersen
生没年:1805-75

デンマークの作家。デンマーク語ではアナセン。貧しいが空想にふける少年時代を生地オーゼンセで過ごし,演劇への情熱に駆られ14歳でコペンハーゲンへ出る。端役として王立劇場へ出たりもしたが,そこへ送った戯曲で基礎教育が必要と判断され,人々の好意を受けて学校へ入る。死の前年まで校長の夢に悩まされるほどエルシノアでの学生生活は苦しかったが,《臨終の子》(1827)などの詩作が始まる。《デンマークにわれ生を受く》は全国民に愛唱されている彼の詩の一つである。25歳のとき,学友の姉と初恋を経験し,愛の詩が生まれ,思い出は童話に生かされる。男性としての魅力に欠けていたためか,その後の恋も実らず失恋の悲しみのみを味わい,生涯一人暮しを余儀なくされる。外国旅行で心の傷はいくぶんいやされ,そのつど集められた精神的エネルギーは激しい創作意欲をたぎらせた。イタリア旅行(1833-34)の後,抒情性豊かな小説《即興詩人》(1835)が生まれ,一躍出世への道が開けた。《O.T.》(1836),《ただのバイオリン弾き》(1838)といった自伝的色彩の濃い小説が続くが,男女の細かい心理描写などは得意でなかったようである。一方,外国旅行はすぐれた紀行文を書かせ,中でもドイツ,イタリア経由イスタンブールへの旅から《詩人のバザー》(1842)が生まれ,最も高い評価を受けている。《スウェーデンにて》(1851)やその他の作品も彼が天才的なレポーターであることを示している。戯曲の執筆も続けられたが,時の名優が主役を演じた《混血児》(1840)が成功したくらいのものである。だが自叙伝自伝文学の古典とみなされている。《わが生涯の物語》(1855)などがあり,生い立ち,恋愛経験,成功への各段階をはじめ数多い友人関係や同時代のヨーロッパの著名な作家,芸術家との出会いなどが,多少の創作的要素もまじえながら綴られている。

 彼の名を永遠にしたのはその童話作品の数々である。ロマン主義という時代的背景があったとはいえ,この新しい文学ジャンルにおいて彼の人生観と非凡な才能が結晶して最も美しい華を咲かせている。同時代の文芸評論家G.ブランデスは〈ホ・セ・(H.C.のデンマークよみ)アナセンがデンマークの子どもを発見した〉と言っている。詩情豊かで幻想的な内容に加えて,口語を織り込んだ新しい文体は後続の作家たちに大きな影響を与え,デンマーク語に新鮮な息吹を吹き込んだ。童話の多く慣用句となってデンマークの日常生活に溶けこんでいる。

 このほか《絵のない絵本》(1840)のような軽いタッチの小品集も見のがせない。日記や書簡集も世に出た現在,死後100年以上を経過してなお,人間アンデルセンの研究はますます盛んである。彼はまた紙の切絵や花束つくりの名手でもあった。
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百科事典マイペディア 「アンデルセン」の意味・わかりやすい解説

アンデルセン

デンマークの作家。オーゼンセの靴職人の子に生まれ,1819年俳優を志してコペンハーゲンに出たが,やがて文学を目ざす。1835年イタリア旅行の印象に基づく小説《即興詩人》によって広く文名をはせ,同年最初の童話集を発表した。以後毎年のように童話集を出して,150を超す童話を書き,童話作家として全世界に知られた。簡明な叙述と豊かな空想,甘美な抒情と暖かいヒューマニズムを備えたその童話は,長く愛読されている。《人魚姫》《みにくいアヒルの子》《マッチ売りの少女》などのほか,童話的な物語《絵のない絵本》も有名。
→関連項目オーゼンセ

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旺文社世界史事典 三訂版 「アンデルセン」の解説

アンデルセン
Hans Christian Andersen

1805〜75
デンマークの詩人・童話作家
貧しいながら文学好きの靴職人の子に生まれ,篤志家の援助で大学に進み,卒業後,王から下賜金を得て1年間外国を旅行。帰国後,『即興詩人』(1835)で名をあげ,同年童話集も出版。以後ロマン主義的童話を多数残した。

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デジタル大辞泉プラス 「アンデルセン」の解説

アンデルセン〔ミュージカル〕

1974年初演のミュージカル。作詞・作曲:フランク・レッサー。1952年公開のアメリカのミュージカル映画『ハンス・クリスチャン・アンデルセン』(原題《Hans Christian Andersen》)に基づく。日本では1983年に劇団四季により初演。

アンデルセン〔チェーン店〕

株式会社アンデルセンが展開するベーカリーのチェーン。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アンデルセン」の解説

アンデルセン
Hans Christian Andersen

1805~75

アナセンともいう。デンマークの作家。文学好きの貧しい靴職人の子に生まれ,イタリア旅行の印象をもとに小説『即興詩人』を書いて世に出,あいついで童話集を出版,『醜いあひるの子』など多くの芸術的童話を書いた。

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世界大百科事典(旧版)内のアンデルセンの言及

【オーゼンセ】より

…1966年デンマーク第3番目の大学オーゼンセ大学が開校され,フューン島の文化的中心地でもある。童話作家アンデルセンの生誕地。【村井 誠人】。…

【児童文学】より

…ほぼ1世紀にわたる訓育主義の跋扈(ばつこ)の後に様相は一変する。フランスの文化的優位に対する反発から始まるドイツ・ロマン主義の動きは,自国の土と血に根ざしたものの探求に向かい,そこからC.ブレンターノらの童歌(わらべうた)の収集と,グリム兄弟の《子どもと家庭のための昔話集(グリム童話)》(第1巻1812)が生まれ,つづいて,デンマークでは昔話に美しい空想の翼をあたえたH.C.アンデルセンの《童話集(アンデルセン童話)》,さらにはノルウェーのアスビョルンセンP.C.AsbjørnsenとムーJ.Moeによる民話の収集(1837~44)が現れるのである。以下,各国の歴史をたどる。…

【即興詩人】より

…デンマークの作家アンデルセンが1833‐34年のイタリア旅行中,その芸術と風景にふれ,情熱と詩情をかき立てられて筆を起こし,帰国してからまとめ上げた小説。1835年刊。…

※「アンデルセン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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