イシミカワ(読み)いしみかわ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イシミカワ」の意味・わかりやすい解説

イシミカワ
Persicaria perfoliata

タデ科一年草で,アジアの熱帯から温帯に広く分布する。普通,河原などの荒れ地に生え,下向きのとげをもつ茎をつる状に長く伸ばして広がる。葉は互生して楯状につき,緑白色,三角形で長さ2~4cm,幅3~5cm。茎とのつけ根には円形葉状托葉鞘がある。花は7~10月に開き,茎の先や上部の葉腋から短い柄を出して総状につく。花被は5裂し,緑白色,果期には瑠璃色になり,果実を包む。和名は大阪府の「石見川」の地名にちなんだものともいわれるが確かではない。同属のママコノシリヌグイ P.senticosumは本種に類似するが,托葉鞘が円腎形になる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イシミカワ」の意味・わかりやすい解説

イシミカワ
いしみかわ
[学] Persicaria perfoliata (L.) H.Gross
Polygonum perfoliatum L.

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。茎は2メートル余に伸び、全草無毛で逆向きの刺(とげ)があり、他物に巻き付く。葉は互生し、三角形で先が鈍くとがり、薄質で緑白色、長さ3~6センチメートル、葉柄は長く逆向きの刺があり葉身に楯(たて)状につく。托葉(たくよう)も楯形。花は8~10月、短い穂状花序につき、小花柄は1.5ミリメートル、花被(かひ)は緑白色、長さ3ミリメートルで5中裂し、裂片は広楕円(こうだえん)形。痩果(そうか)は藍(あい)色、球形で径3ミリメートル。日本全土の畑や道端などの草地に生え、中国、マレーシア、インドなどに広く分布する。名の由来はよくわからないが、種皮が堅いことから石実皮であろうといわれる。

[小林純子 2020年12月11日]


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百科事典マイペディア 「イシミカワ」の意味・わかりやすい解説

イシミカワ

タデ科のつる性一年草。日本全土,東南アジアに分布し,野原にはえる。茎には下向きのとげがあって,他物をよじのぼり,長さ2m以上に達する。三角形の葉は裏側に柄がつき,互生。托葉は皿状。花は7〜10月に咲き,淡緑白色で目だたないが,秋,包葉の上に藍(あい)色の丸い果実が皿の上の団子のようにつく。

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世界大百科事典(旧版)内のイシミカワの言及

【ミゾソバ】より

…とくに利用されることはないが,秋の野草として親しまれている。 近縁種に,鋭い逆刺をもつ茎葉で継子のしりをぬぐう草を意味するママコノシリヌグイP.senticosum (Meisn.) Fr.et Sav.や,イシミカワP.perfoliatum L.がある。いずれも人里の周辺に生える。…

※「イシミカワ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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