イナウ(その他表記)inaw

デジタル大辞泉 「イナウ」の意味・読み・例文・類語

イナウ

アイヌ語アイヌ宗教儀礼に用いる木製幣帛へいはく。皮を取り去った柳などの小枝を削りかけの状態にしたもので、捧げる神によって種々の形がある。イナオ

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精選版 日本国語大辞典 「イナウ」の意味・読み・例文・類語

イナウ

  1. 〘 名詞 〙 ( [アイヌ語] inau )[ 異表記 ] イナオ アイヌが宗教儀礼に用いる道具一つ。削り掛け(削り花)のようなもので、皮を取り去った柳などの小枝を削りかけて、采配(さいはい)のように垂らしたもの。御幣と同じように神にささげる。
    1. [初出の実例]「イレンカトムは、神聖なイナオ(木幣)の祭場所に永い祈念を捧げた」(出典:風に乗って来るコロポックル(1918)〈宮本百合子〉七)

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改訂新版 世界大百科事典 「イナウ」の意味・わかりやすい解説

イナウ
inaw

アイヌの祭具。柳,ミズキなどを削掛け状にしたもので,イナウ作りは男の大切な仕事とされ,これを捧げて神々をまつる。本来魔神を脅すための棒であったとも考えられる。捧げる神や時と場所により,材料や形が異なり,本数や組合せも用途によって多様である。
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世界大百科事典(旧版)内のイナウの言及

【花】より

…もとは〈削りかけ〉とか〈削り花〉と呼ばれるもので,木の枝の表面を小刀で薄く削りかけると,枝の先にちぢれた薄片が花びらのようにつく。これを神霊の依代にしたのが初めらしく,アイヌのイナウがその古形をとどめている。この削りかけがもとになって棒の先に紙の御幣をつけた玉串(たまぐし)と,造花がつくられるようになった。…

※「イナウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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