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イヌビワ

百科事典マイペディアの解説

イヌビワ

イタビとも。クワ科の落葉低木。関東〜沖縄,東南アジアの暖かい沿海地の低地林内にはえる。葉や茎を傷つけると白い乳液が出る。葉は互生し,無毛で倒卵形雌雄異株。4〜7月葉のつけ根にイチジクに似た小さい花序をつける。8〜10月果嚢は黒紫色,径2cmほどに熟し,食べられる。イタビカズラヒメイタビ,ハマイヌビワなどの近縁種がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イヌビワ
いぬびわ / 犬枇杷
[学]Ficus erecta Thunb.

クワ科の落葉または常緑小高木で、沖縄以南では常緑。高さ約5メートル。樹皮は灰色を帯びる。葉は互生し柄があり、倒卵形ないし長楕円(ちょうだえん)形、長さ8~20センチメートル、ほぼ全縁で紙質、裏面は淡緑色。葉の腋(わき)に1個まれに2個のいちじく状花序をつけ、倒卵形ないし球形で紫黒色に熟す。雌雄異株。イチジク属の植物では、花序が特異な形の壺(つぼ)状となり、頂端の孔が鱗片(りんぺん)に覆われ、花は外界から隔離されている。そのため花粉の媒介は、種に特有のイチジクコバチ科の小昆虫が寄生して行われるという。コバチが寄生して生じる虫(ちゅうえいか)と雄花とをつける花序は食べられないが、雌花の花序は受粉して実り、食用となる。この属の植物(約800種)の多くは熱帯に分布する。種子の散布は鳥によってなされ、鳥の消化液で種子の発芽が促進されるようである。直接播種(はしゅ)したのではめったに発芽しない。関東地方以西の本州、四国、九州、沖縄と、台湾に分布する。[島袋敬一]

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世界大百科事典内のイヌビワの言及

【アコウ】より

…釈尊がその樹の下で悟りを開いたと言われる菩提樹は,日本の寺院に植えられているボダイジュTilia miqueliana Maxim.ではなく,インドボダイジュF.religiosa L.(英名bo‐tree)で,気根を垂らす,巨大な雌雄同株のイチジクである。イヌビワF.erecta Thunb.は日本の暖地に普通に生える落葉低木で,果囊は黒く熟して食用になる。イヌビワコバチが受粉に関係する。…

【イチジク(無花果)】より

…各種にはそれぞれ種類の異なるイチジクコバチ類がいて,花粉を媒介している。そのやり方には,イチジクと同じように雄株と雌株があるもの(雌雄異株,イヌビワとイヌビワコバチはその例)と,すべての株が同じ型の果囊をつける雌雄同株のものとがある。雌雄同株のアコウでは,果囊の内部には雄花のほかに,長花柱,短花柱の2種類の雌花があり,コバチが受粉・産卵することにより,長花柱花では種子が,短花柱花では虫こぶができ,種子と虫こぶがほぼ同数となる。…

※「イヌビワ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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