インドネシア語(読み)インドネシアご(英語表記)Bahasa Indonesia

翻訳|Bahasa Indonesia

精選版 日本国語大辞典 「インドネシア語」の意味・読み・例文・類語

インドネシア‐ご【インドネシア語】

  1. 〘 名詞 〙 オーストロネシア語族に属する言語の一つ。多言語国家インドネシア共和国公用語。基本的にはマレーシアマライ語と同じであるが、それぞれ歴史を反映して、語彙には、インドネシア語にはオランダ語からの、マライ語には英語からの借用語が多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「インドネシア語」の意味・わかりやすい解説

インドネシア語 (インドネシアご)
Bahasa Indonesia

インドネシア共和国の〈国語〉としてのマレー語に与えられた呼称。したがって,言語学的にはマレー語の一方言である。マレーシアでは国語としてのマレー語をマレーシア語と呼ぶ。マレー語はマラッカ海峡沿岸,リアウ諸島リンガ諸島などに土着的に分布していたが,その分布域が海上交通の要衝を占めていたため,古くからそこに往来する人々の交易語として利用され,ヨーロッパ人が初めて渡来した16世紀初頭にはインドネシアの諸港とその後背地に交易語として広まっていた。オランダは,域内に200を超える言語を抱える〈オランダ領東インド〉の行政にマレー語を利用した。日本軍政もその言語政策としてマレー語以外の選択肢をもたなかった。また1920年代の民族主義の高揚のなかで,〈インドネシア青年会議〉は,28年,〈われらインドネシア人は唯一の言語インドネシア語をもつ〉ことを決議の一部とする〈青年誓詞〉を採択した。これらの歴史的経緯を背景に,インドネシア共和国はその〈1945年憲法〉の第36条でインドネシア語を〈国語〉とすることを規定した。しかし,大多数のインドネシア人にとって母語はそれぞれの地方語であり,インドネシア語は学校教育を通じて獲得された第二言語である。この点でマレーシア,ことに西マレーシアで母語として使われるマレーシア語とは状況を異にする。マレーシア語とインドネシア語の相違は,主として外来語の受容に由来する語彙の違いと,わずかな発音上の違いとにある。マレーシアのマレー語には英語とアラビア語からの借用語が顕著であり,インドネシアのマレー語にはオランダ語とジャワ語経由のサンスクリットからの借用語が目だつ。新語の造製にあたってもこの傾向が維持されている。〈インドネシア・マレーシア言語委員会〉が両国語間の差異を小さくする努力を続けている。その成果の一つとして,〈統一正書法〉が作られ,77年から両国において使われている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インドネシア語」の意味・わかりやすい解説

インドネシア語
いんどねしあご

オーストロネシア(マライ・ポリネシア)語族ヘスペロネシア語派の一言語。第二次世界大戦前の名称ではマレー語という。インドネシア共和国の公用語で、マレーシアのマレー語とあわせると言語人口はほぼ1億3000万人に達し、世界でも第6位の大言語である。インドネシア語Bahasa Indonesiaという呼称は、まだオランダの支配下にあった1928年、全国青年インドネシア会議における「青年の誓い」で採択されたことに始まるが、公用語となるのは1945年の独立以降のことである。前身としてのマレー語はスマトラ島東部沿岸の一地方語であったが、すでに7世紀には島々の間で交易のための共通語として用いられていた。現在も、ジャワ語を最大とする各地方語のうえに君臨して、インドネシアの国家的統一を図るのに貢献している。7世紀には南インドのパッラバ文字が使用されていたが、14世紀ごろからはイスラム教の渡来とともにアラビア文字にかわり、そしてオランダ時代にはローマ字化が進んで、現在、インドネシア語とマレーシア語とは統一したローマ字表記法をもつに至っている。文法の核心となるのは接辞法で、その用法にはかなり複雑な点があり、十分に使いこなすには相当の練習を必要とする。

[崎山 理]

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百科事典マイペディア 「インドネシア語」の意味・わかりやすい解説

インドネシア語【インドネシアご】

マレー語のうち,インドネシア共和国の国語とされるもの。公用語でもある。バハサ・インドネシアBahasa Indonesiaとも。もともと東南アジアの諸島部で流通度の高かったマレー語を母体とし,〈インドネシア民族〉の共通語として1928年に民族主義運動の政治集会で採択された。以後,国家統一の強化のため,使用の徹底化が図られている。ローマ字表記がなされる。
→関連項目インドネシアインドネシア語派ジャワ語

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世界の主要言語がわかる事典 「インドネシア語」の解説

インドネシアご【インドネシア語】

インドネシアの公用語。話者数は1億6500万人。アウストロネシア語族のインドネシア語派に属するマレー語の一方言にあたる。インドネシア人の母語はジャワ語その他の地方語だが、20世紀に、この一帯の共通語として使われていたマレー語をインドネシア語と呼んで民族独立の表現手段とし、1945年の独立後に公用語とした。言語的な特徴としては、語の派生に接辞を多用する、「主語-動詞-目的語」の語順をとる、動詞は語形変化をしない、修飾語は被修飾語の後に置く、などがある。サンスクリットアラビア語オランダ語からの借用語が多い。表記にはラテン文字を使う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インドネシア語」の意味・わかりやすい解説

インドネシア語
インドネシアご
Indonesian language

インドネシアの公用語。マレー語と実質的に同じであるが,1945年の憲法では,特にインドネシア語 (バハサ・インドネシア) と呼んでいる。マレーシアのマレー語とは,正書法のうえでいくつかの相違があったが,それも 72年以降,大幅に歩み寄った。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「インドネシア語」の解説

インドネシア語(インドネシアご)

マレー語

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世界大百科事典(旧版)内のインドネシア語の言及

【マレー語】より

…マライ語ともいう。現在,公用語として用いられるマレーシア連邦ではマレーシア語,インドネシア共和国ではインドネシア語Bahasa Indonesiaと呼ばれる。ただし広義では,インドネシア語派の諸言語を総称してマレー語と呼ぶこともある。…

【インドネシア】より

…正式名称=インドネシア共和国Republic of Indonesia面積=190万4569km2人口(1996)=1億9819万人首都=ジャカルタJakarta(日本との時差=-2時間)主要言語=インドネシア語,ジャワ語,スンダ語通貨=ルピアRupiah東南アジアの大国。赤道をはさんでその南北に広がる島嶼(とうしよ)国家である。…

【インドネシア語派】より

…また,ベトナムやカンボジアのチャム語Chamやラデー語Radeなどは,アウストロアジア語族の影響を受けてはいるが,やはりアウストロネシア語族のうちのこの語派に属する。これらインドネシア語派諸語のうち,東インドネシア諸島の諸言語は他とかなり特徴が異なるようであるが,それ以外の言語は北方語群(台湾(高山族諸語)ィリピン(タガログ語など),スラウェシ北部,ボルネオ北部)と西方語群(マレー半島,スマトラ,ジャワ,マドゥラ語の用いられるマドゥラ島,ボルネオ南部,マダガスカルなど)の二つに分類し得る。 音韻,文法ともに南北両端に行くほど複雑となり,中心部のインドネシア語は最も簡単な体系を示す。…

【マレー語】より

…アウストロネシア語族のインドネシア語派に属する一言語で,マレー民族の固有語。マライ語ともいう。…

※「インドネシア語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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