改訂新版 世界大百科事典 「ウシガエル」の意味・わかりやすい解説
ウシガエル
bull frog
Rana catesbeiana
一般に食用ガエルの名で知られるアカガエル科の1種。アメリカ合衆国東部・南部の原産で,食用として世界各地に移入され,日本には1918年にニューオーリンズから初めて14匹が輸入され,各地で養殖が始められた。それらの脱出した個体が増えたりして定着し,現在では北海道から石垣島まで各地の池や沼に分布している。体長15~20cmの大型ガエルで目の後方に大きな鼓膜があり,その直径は雄のほうが雌よりも大きい。鳴囊はのどにあって大きく,夜間,牛のような大きな声を響かせて周辺の人たちを驚かせる。ジャンプ力が強く,ひと跳びで5m以上跳ぶものもある。アメリカの田舎町で毎年行われるウシガエルのジャンプ大会は,マーク・トウェーンの出世作《キャラベラス郡の名高き跳び蛙》によって一躍名高くなった。現在でも毎年カリフォルニア州エンゼルス・キャンプでジャンプ大会が開催され,日本を含む世界中から〈選手〉が参加する。本種は初夏のころ水田や池に6000~2万個の卵を産み,1週間くらいで孵化(ふか)し幼生は原則として越冬し全長12cmに成長する。近年ではこの後肢肉は,食用として逆にアメリカに出荷されている。ウシガエルの名は,姿の似たナンベイウシガエルLeptodactylus pentadactylus(全長20cm)やアフリカウシガエルPxicephalus adspersus(全長22cm)などの大型種にも付せられている。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報