国が定めた燃費基準を満たす車を対象に所有者の税負担を軽くする制度。取得時や車検時に課税される自動車重量税を燃費に応じて減免する。毎年納める自動車税や軽自動車税を環境性能に応じて減らす「グリーン化特例」もある。自動車関連の税制は諸外国に比べて複雑で負担も重いとの批判があり、業界団体は簡素化と負担軽減を求めている。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
環境性能が優れている自動車(エコカー)に対し、自動車の購入時や保有時にかかる自動車関連税を減免する優遇制度。燃費や排ガス性能の悪い車から環境性能のよい車への買い替えを促す目的があり、日本、欧米、中国、インド、東南アジアなど多くの国が導入している。電気モーターのみで走行する電気自動車、水素を燃料とする燃料電池車、外部のコンセントから充電できるプラグイン・ハイブリッド・カー、天然ガス車のほか、二酸化炭素などの排出量が少ないハイブリッド車やガソリン車を対象とすることもある。エコカー減税は経済的な手法で環境問題を解決しようとする環境税の一種とみることができる。なお、類似制度として、環境性能の優れた車の購入時に補助金を出すエコカー補助金という制度もある。
日本では、2008年(平成20)のリーマン・ショックで低迷する国内消費をてこ入れする目的もあり、2009年に経済産業省主導で導入された。当初、自動車購入時と車検時にかかる自動車重量税、購入時にかかる自動車取得税(2019年廃止、同年から環境性能割へ転換)、毎年かかる自動車税・軽自動車税を減免していたが、ピーク時(2016年)にエコカー減税対象車が新車販売数の84%を占めるようになり、2017年から適用基準を段階的に厳しくし、2025年5月以降はガソリンのみを動力源とする車を対象外とする計画である。エコカー減税は時限措置であることが多く、数年ごとの税制改正で基準や減免幅が変わり、対象車種も頻繁に変更されている。
2023年度(令和5)までの税制改正で、自動車重量税については、電気自動車、燃料電池車、プラグイン・ハイブリッド・カー、天然ガス車を対象に、取得時と初回車検時の2回が非課税となる。ガソリン車やハイブリッド車については、2030年燃費基準の達成度に応じて、2回(取得時と初回車検時)非課税、取得時1回のみ非課税、取得時のみ50%減税、取得時のみ25%減税の四つに分かれる。燃費基準達成度を2024年と2025年5月に段階的に厳しくし、たとえば達成度下限は2023年末までは60%だが、2024年から70%、2025年5月からは80%へと引き上げる。最大で3%を課税する環境性能割は、電気自動車、燃料電池車、プラグイン・ハイブリッド・カー、天然ガス車は非課税。ガソリン車やハイブリッド車については、2030年燃費基準達成度に応じて、自家用の乗用車は非課税、1%課税、2%課税(軽自動車は非課税、0.5%課税、1%課税)の3段階で減免する。乗用車の場合、2023年末までは燃費基準達成度85%以上なら非課税、同75~84%で1%課税、同60~74%で2%課税となっているが、達成度下限を2024年1月から70%、2025年4月からは75%へ引き上げる。自動車税・軽自動車税は購入翌年度の支払い分を軽減するグリーン化特例を2026年3月末まで適用し、普通乗用車で75~50%、軽自動車で75~25%の減免となる。なお、エコカー減税は、2026年4月以降、電気自動車などの普及を踏まえた、新たな税制へと抜本改正される予定である。
[矢野 武 2023年6月19日]
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