エコノミークラス症候群(読み)えこのみーくらすしょうこうぐん(英語表記)economy class syndrome

知恵蔵「エコノミークラス症候群」の解説

エコノミークラス症候群

飛行機の狭い座席に長時間座っていた乗客が、機から降りた直後に倒れる病気。ロングフライト血栓症ともいう。足の静脈に血のができ、その血栓に詰まって呼吸困難や心肺停止を招く肺塞栓症(肺動脈血栓塞栓症)を起こす。飛行中の航空機内は湿度が20%程度まで低くなり、体の水分が失われやすい。また、0.8気圧程度までしかならず、1500m級の山にいるのと同じ状態となる。これらの条件から血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなる。機中で尿が出やすくなるアルコールやコーヒーを飲んで、さらに水分が失われる。こうして足にできた血栓が、着陸後に動き出した途端に血流に乗って肺に入り、肺の血管をふさいでしまうことから発症する。航空医学研究センターによると、国内でのエコノミークラス症候群の報告例は1995〜2001年で30数件。海外に比べて対応が遅れていた日本の航空会社も、対策を本格化させ始めた。医師は「十分な水分をとり、適度に足を動かすことで予防できる」と説明している。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉「エコノミークラス症候群」の解説

エコノミークラス‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【エコノミークラス症候群】

狭い座席に長時間座っていることから起きる疾患。足の血管内に血栓ができ、それが肺に流れ込んで胸痛・呼吸困難・心肺停止などの症状を起こし、最悪の場合は死に至る。エコノミー症候群旅行者血栓症。ロングフライト血栓症。
[補説]航空機の狭い座席で起こりやすいことから名づけられたが、広い座席や自動車内などでも、同じ姿勢をとり続ければ同様の症状が現れる。予防のため、足指や足首をこまめに動かすほか、適度な水分をとるのがよいとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「エコノミークラス症候群」の解説

エコノミークラス症候群
えこのみーくらすしょうこうぐん

肺塞栓(そくせん)症(肺動脈血栓塞栓症)の一種。おもに体の深くにある深部静脈にできる血栓が原因になるので、深部静脈血栓症の一部でもある。航空機の狭い座席に長時間同じ姿勢で座っている乗客におこる場合が多いことから、以前は「エコノミークラス症候群」とよばれていたが、かならずしもエコノミー・クラスの座席に限らないとして「ロングフライト血栓症」の呼称が使われるようになった。

[編集部]

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