改訂新版 世界大百科事典 「オサムシ」の意味・わかりやすい解説
オサムシ
ground beetle
predacious ground beetle
甲虫目オサムシ科Carabidaeに属する昆虫の総称。成虫,幼虫とも夜行性。体長1.5~4cmくらいのものが多い。発達した大あごと長い脚をもち,すばやく走り昆虫類,ミミズ,カタツムリなどの小動物を捕食する。オサムシ類,セダカオサムシ類はユーラシア大陸の熱帯を除く地方と北アメリカに分布しており,後翅が退化したものが多い。おもに地表で生活するが,大きな移動力がなく生息地が局限されるものが少なくない。オサムシ類は世界から700~800種が,日本からはマイマイカブリ,アオオサムシ,オオルリオサムシなど約35種が知られる。またセダカオサムシ類は世界から数十種,日本からはセダカオサムシCychrus morawitzi1種が知られる。オサムシ類の成虫には美しい金属光沢をもつものがあり,また上翅は隆起条,条線,点刻などで飾られ,造形の妙に魅せられて収集家も多い。カタビロオサムシ類は後翅が発達してよく飛ぶ。全世界に分布し,約150種が知られる。日本にはクロカタビロオサムシCalosoma maximowicziなど4種を産する。このグループは主として樹上で生活し,ガの幼虫などを捕食するので有益である。オサムシ類には水辺や湿地にすむもの,高山の石の下に見いだされるものなどがいる。また成虫は尾端から酸性の液を射出するものが少なくない。オサムシ科の幼虫には黒褐色や黒藍色のものが多い。1対の尾突起がある。1年に1世代だが,幼虫で越冬するものを除けば幼虫期間は短い。成虫は土中や朽木中に潜って越冬する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報