ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイマイカブリ」の意味・わかりやすい解説
マイマイカブリ
Damaster blaptoides
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甲虫目オサムシ科の昆虫。日本特産種。頭と胸が他のオサムシ類に比べて著しく長く,Japanese ground beetleとして知られる。左右の上翅は癒着し,後翅を欠く。体長30~60mm。北海道から九州(南限は屋久島)まで分布するが,地方によって多少形態が異なり,次の亜種に分けられている。エゾマイマイカブリ,キタマイマイカブリ,アオマイマイカブリ,サドマイマイカブリ,ヒメマイマイカブリ,コマイマイカブリ,マイマイカブリ。サドマイマイカブリは頭や胸が他の亜種より短く,ややカブリモドキに似ることから,もっとも祖先に近い形を維持しているとする見方もある。成虫,幼虫ともカタツムリ(マイマイ)に頭を突っ込んで食するが,その姿からマイマイカブリと名づけられた。5~7月ころ土中へ産卵。孵化(ふか)した幼虫は5日間くらいで2齢(終齢)となり,さらに約2週間後には土中で蛹化(ようか)する。さなぎは10日前後で羽化する。寒い地方では幼虫で越冬することがある。成虫,幼虫の越冬場所は土や朽木の中で,成虫はしばしば集団で越冬する。
執筆者:林 長閑
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昆虫綱甲虫目オサムシ科に属する昆虫。日本特産種で、大形の細長い甲虫。北海道から九州(屋久島(やくしま))まで各地に産するが、地方的に変異があって、厳密には近畿地方以西のものをさす。体長3~6センチメートル余り、頭と前胸は細く伸びており、上ばねは紡錘形に膨らみ、左右のはねが癒着して開かず、後ろばねは退化消失していて飛ぶことができない。脚(あし)はよく発達していて細いが長く、歩行は速い。西南日本産は体が黒く、前胸が長くて上ばねの各先端は棘(とげ)状にとがって伸びるが、中部地方から関東地方にかけて産するものは頭と前胸背部に青い光沢があり、前胸は比較的短く、上ばねの棘も短くなる。東北地方産では頭と前胸が青色から紫色、または赤紫色に光り、上ばねの棘はほとんどなくなる。北海道の個体では頭と前胸が銅緑色になり、上ばねは紫色を帯び、はね先は丸くなる。佐渡島にいるものは頭と前胸が太くて青紫色の光沢があり、はねの棘もほとんどなく、祖先型を思わせる。このような著しい変異のため以前は数種に分けられていたが、二つの型の中間地帯では中間型がいるので1種にまとめられた。幼虫は黒色で青い光沢があり、鎧(よろい)を着たように頑丈で、成虫とともに地表にすみ、カタツムリを襲って殻の中に首を突っ込んで肉を食べる。成虫の頭と前胸が細長いのはこの習性に適応したもので、殻をかぶって歩くのでマイマイカブリの名がついた。冬は成虫態で土中や朽ち木中に潜って越す。
[中根猛彦]
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