翻訳|oscillograph
電圧,電流およびこれらに変換することのできる現象の時間的変化を記録,または表示させる計測器をオシログラフという。ペンオシログラフ,電磁オシログラフ,オシロスコープ(ブラウン管オシログラフ)などがあり,それぞれ測定できる周波数範囲が異なる。
可動コイル形計器の指針の先にペンをつけ,一定速度で移動する記録紙上に記録するものである。可動部を軽くし,強力な磁石を用い,増幅器を併用することによって,100Hz程度までの現象の測定が可能である。最大8素子程度まである。記録方式にはインキ,熱ペン,放電式などがある。
可動コイル形計器と同一の原理で,永久磁石の磁界内に振動子をつり下げる。振動子は,鏡をはりつけた軽いコイルで,適当な制動を与え,周波数特性を平たんとするため透明な制動油中に浸すことが多い。これに電流を流すと磁界と電流の間に電磁力が働き回転する。交流の場合にはコイルが振動する。高圧水銀灯の光を鏡で反射させ,一定速度で移動する紫外線感光紙に焼き付け,自然光で現像することにより記録する。最大24素子,最高周波数は10kHz程度までである。一般に振動子の共振周波数の1/2程度までが使用範囲で,共振周波数が高くなるほど感度が悪くなる。
→オシロスコープ
執筆者:平山 宏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
被測信号に適した振動特性をもつ機械的振動子を、被測電気信号の電磁作用を利用して振動させ、信号の時間的変化を記録または観測する装置の一種。電磁オシログラフともいう。周波数のあまり高くない現象(実用的には2キロヘルツ以下)の観測に使われる。構造は各社の製品によって異なるが、振動子、光学系、記録部、電源部から構成され、これらが一つの箱に収められてコンパクトなものになっている。
振動子は寸法をきわめて小さくし、固有振動数を高くした一種の反照検流計で、永久磁石の磁極片間に生ずる強力な磁界(1~2テスラ)内に2本のリン青銅のストリップ(細い線)を張り、その中央に微小な反射鏡を張り付けてある。2本のストリップに、信号に比例する往復電流を流すと、電磁作用により前後にたわむので、反射鏡が傾き、反射光に電流の強弱に応じたいわゆる「振れ」を生じる。これをスクリーンで観測したり、写真フィルムに記録したりする。また、適当な制動力を得るため、振動子は流動パラフィン、シリコン油などに浸して用いる。信号を忠実に記録するには、信号に適した固有振動数や感度をもった振動子を選ぶことがたいせつである。とくに微小信号の測定には高感度のものを用いるが、これは安全電流が低いので、十分な注意が必要である。実際の場合、振動子は複数個設けられるものがほとんどで、6素子、18素子などのものがあり、各種のセンサーと併用して、機械や水管などの各部の振動・応力分布など、多現象の同時記録に便利である。
なお、可動部分にペンを取り付け、一定速度で移動する記録紙の上に、直接、信号波形を描かせるものをペン書きオシログラフといい、工学的な現象のほか医学方面でも広く用いられている。なおペンにはインキ書き式、スクラッチ式、熱ペン式などがある。
[高尾利治]
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