翻訳|Oregon
アメリカ合衆国北西部、太平洋岸の州。面積25万1180平方キロメートル、人口342万1399(2000)。州都はセーレム。西は太平洋に臨み、北境にコロンビア川、東境にスネーク川が流れ、南はカリフォルニア州とネバダ州に接する。海岸部を比較的低いコースト山脈が、その東側を火山群をもつカスケード山脈(最高峰フード山、3424メートル)が南北に走り、さらに東は州土の3分の2を占める溶岩台地が広がる。コースト山脈とカスケード山脈に挟まれて州北西部に位置する沖積平野ウィラメット・バレーは、肥沃(ひよく)な土壌に恵まれた大農業地帯で、州第一の人口集積地域である。カスケード山脈を境に気候は大きく異なり、温暖で湿潤な西岸海洋性気候の海岸部に対して、内陸部では寒暖の差が大きく、乾燥し、年降水量は500ミリメートル以下。森林地帯が州土の2分の1を占めるため、合衆国最大の林業州となっている。カスケード山脈西側斜面ではダグラスモミやツガを、東側斜面ではマツを多く産する。したがって製材、パルプ、木工業などは州最大の産業である。林業と並んで農業も重要で、小麦、豆類、野菜、果物がウィラメット・バレーを中心に栽培される。また南東部を中心に牧畜も盛ん。豊かな農産物を利用した食品加工業や、機械、金属などの工業も発達する。サケを中心とした水産物も豊富で、ニッケル産地としても知られる。クレーター・レーク国立公園を代表とする景勝地も多く、観光業が脚光を浴びてきている。
オレゴン・カントリーとして一時は合衆国太平洋岸北西部全域を占めたこともある。この地域に最初の探検を試みたのは、1543年スペイン人であった。アメリカ人による本格的な探検は、ルイスとクラークにより1804~06年に行われ、一時期はイギリスと合衆国との共同統轄下にあった。中西部からの移住が軌道にのるのは1840年代、オレゴン道が開通してからである。48年オレゴン準州が誕生し、1853年ワシントン準州が分離、オレゴンは59年、33番目の独立州となる。19世紀末から林業と農業の発達がみられ、20世紀に入ってからの都市発展は目覚ましい。港湾都市ポートランドは州最大の都市である。大学は、オレゴン大学、同州立大学、リード大学など43校ある。
[作野和世]
アメリカ合衆国北西部,太平洋岸の州。略称Oreg.,Ore.。連邦加入は1859年,33番目。面積25万1180km2。人口383万1074(2010)。州都はセーレム,最大都市はポートランド。州名の由来は不明であるが,元来は州の北端を流れるコロンビア川とその流域をさして使われた。イギリスと合衆国との共同領有のあと,1846年に合衆国領となった。東部には溶岩性のコロンビア高原が広がり,比較的乾燥し,人口は希薄である。コースト・レーンジズ山脈とカスケード山脈が太平洋岸に平行して南北に走る西部は,西岸海洋性気候で雨量に恵まれ,森林が発達する。州面積の約半分が,州木であるダグラスモミやツガ,レッドウッド,トウヒなどの森林でおおわれ,豊かな森林資源を背景に,製材をはじめパルプ,合板,家具製造などの産業が州経済の中心をなしてきた。州人口の9割近くがカスケード山脈の西に存在し,とくにコースト・レーンジズ山脈との間には州の中枢をなすウィラメット・バレーが広がり,州人口の7割を擁して農業が盛んである。この地域の開拓は1834年に始まったが,43年以来オレゴン街道を通って多くの植民者が入植した。今日,小麦,エンバク,ジャガイモ,イチゴ,サクランボ,クルミ,野菜などの栽培が行われる。ワシントン州との州境を流れるコロンビア川はその多目的利用が進み,またカスケード山脈には,クレーター・レーク国立公園やフッド山(3424m)など火山も多く,自然美に恵まれる。環境保全運動の盛んな州としても知られる。伝統的に共和党が強い政治風土をもつ。20世紀初頭よりイニシアティブ,レファレンダム,リコールなど政治面での改革が進み,〈オレゴン・システム〉として知られるようになった。
執筆者:正井 泰夫
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