オロモ(読み)おろも

知恵蔵の解説

オロモ

エチオピアの中・南部からケニアの北・東部にかけて住む民族。ガラ人(族)とも呼ばれる。エチオピアでは最大の民族で、人口約9700万人の約3分の1(推定約3000~3500万人)を占める(2014年)。元はエチオピア南部に住んでいたが、16世紀頃から中・北部にも勢力を拡大。山岳・高原地帯が多いエチオピアにあって、平地では牧畜、高地では農耕を営みながら、半農半牧で各地の環境に適応していった。
オロモは、ガダと呼ばれる独特の年齢階梯制の集団を組織することで知られる。男性が集団の政治・軍事・宗教儀礼などの役務を担い、8年ごとに引き継ぐというシステムで、世代を超えて口頭で伝承される。オロモはこのガダ・システムを基盤に、他民族との紛争に打ち勝ちながら、エチオピア各地に小王国を築いていった。しかし20世紀初め、アムハラ人が支配するエチオピア帝国に組み入れられ、中・北部ではエチオピア第2の民族であるアムハラ人との混血も進んだ。
1974年のエチオピア革命で帝政が廃止され、その後91年にアムハラ人の大統領メンギスツの独裁政権が倒れると、少数民族ティグライ人が主導するエチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)の暫定政府が成立した。オロモ人も政権の中枢を担ったが、やがて離脱。政府とオロモ人の対立が深まった。近年、エチオピア政府は首都アディスアベバを拡張するため、オロモ人が所有する土地の強制収用計画を進めている。これに対して2015年11月、オロモ人による大規模な抗議デモが起こったが、政府の弾圧は容赦なく、デモから9カ月間で500人以上が殺害され、数万人が逮捕・拘束されたと伝えられる。16年8月のリオデジャネイロ五輪では、男子マラソンで銀メダルを獲得したオロモ人のフェイサ・リレサ選手が、ゴールの際にエチオピア政府への抗議の意志を示すポーズを取り、世界の注目を集めた。

(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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