オーストラロイド(英語表記)Australoid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

類オーストラリア人種オーストラリア先住民とその類縁の人種をいう。コーカソイドに分類されたり,あるいはまた三大人種系株 (モンゴロイド,コーカソイド,ニグロイド) とは別個の独自の人種系統にあげられたりする。長頭,かつ低頭で,額は傾斜する。眼窩上隆起発達する。歯牙は一般に大きい。このなかには,インド南部やスリランカ奥地に住むベッドイドがあげられるが,オーストラリア先住民が多毛で老型的であるのに対して,ベッドイドは幼型的である。また東南アジアの島々やインドシナ半島内の各地に散在する諸集団の人種特徴のなかにはオーストラロイド的な痕跡があるといわれる。ときにはアイヌと関連づけようとする学者もいる。しばしば白人祖先とみなされるが,最近は,旧人との関連を強調することもあるように,現生人類の古代型とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

類オーストラリア人種という意味で、オーストラリア・アボリジニーとその類縁人種を一括していう。今日のいわゆる白人の祖型としてコーカソイドのなかに入れられたり、独立の人種系種(人種の大分類)にあげられたりする。その特徴として、上弓(びじょうきゅう)がひさしのように張り、目や鼻根部がくぼみ、顔は上下に短く幅広い。鼻は低く、非常に幅広い。口が大きく、唇は厚いが、それほどめくれ返ってはいない。額は狭く、いくらか後退している。長頭。現生人類で最大の歯をもち、そのため突顎(とつがく)を示す。皮膚の色は全般的にチョコレート色であるが、日光の量と関連し、赤道から遠く離れた地方ほど色が薄くなる。毛髪や、目の虹彩(こうさい)の色はほとんどの場合において褐色である。オーストラリア中央部の諸族では、幼児期にほぼ全員が金髪であり、西部地域でもその率は高い。毛は波状である。体毛や顔毛の量は多い。身長はさまざまであるが、体はやせて、四肢も細長い。この体形は体重に比べて体表面積が大きいため、暑熱の砂漠に適しているといえる。血液型はほかの集団とは大幅に異なり、ABO式ではB型が著しく少なく、またMN式ではN型が高率である。
 オーストラロイドはオーストラリア大陸に広く分布するが、地域差が大きい。たとえば大陸北東部のクイーンズランドには、成人男子の平均身長が150センチメートルという短身で、頭髪が著しく縮れているなどのピグミー的要素をもつ部族が住んでいる。またバードセルJoseph B. Birdsellによれば、大陸北部にカーペンタリア人、南東部にマリ人が住み、中央砂漠地帯には中間的なものが分布するという。オーストラリア大陸以外のオーストラロイドとしては、ニューギニアのパプア人との近縁性が考えられる。インド南部やスリランカ奥地に住むベッダはオーストラロイドに似るが、体毛は少ない。[香原志勢]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (Australoid) ジェームズ=クックがオーストラリア大陸を探険し、ヨーロッパに紹介するまで、狩猟採集を主とした原始的な文化を営んでいた先住民。形態的特徴は弓型の眉が顕著に眼窩上に張り出し、口唇は厚く、広鼻で顎の発達が悪い。中身長で長頭、波状毛で毛深く、皮膚は濃褐色あるいは淡褐色である。オーストラリア先住民。

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

オーストラリアの先住民で,黒褐色人種群。代表はアボリジニー
皮膚 (ひふ) は黒褐色で長頭型をしている。古く南インド・マレー方面から島づたいに移住し,大陸全土に分布。近年まで石器を用いた採集狩猟の原始的段階にとどまり,トーテミズム別に数百の部族に分かれた。1788年の白人移住後,アボリジニーの人口は激減し,20世紀初頭には約6万人と,かつての5分の1以下になった。その後,1920年代から白人との混血が進んだため,86年には約21万人に回復した。

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世界大百科事典内のオーストラロイドの言及

【オセアニア】より

…これまでにオーストラリアで出土した最古の化石人骨は,ニュー・サウス・ウェールズ州西部のマンゴ湖近傍から出土した女性人骨で,炭素14法による年代測定の結果,およそ2万6000年前のものとされている。アボリジニーは人種上オーストラロイドの名で呼ばれている。概して中等度の身長,波状毛,突出した眉上弓,くぼんだ目,広鼻,厚い唇,長頭,赤褐色ないしチョコレート色の皮膚,多毛性などを身体形質上の特徴とする。…

※「オーストラロイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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