カナリア諸島(読み)カナリアしょとう(英語表記)Islas Canarias

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カナリア諸島
カナリアしょとう
Islas Canarias

英語ではカナリー諸島 Canary Islands。アフリカ大陸北西の大西洋上にあるスペイン領の島嶼群。モロッコの南部西岸沖に東から西へ約 500kmにわたって連なるランサロテ,フエルテベントゥラ,グランカナリア,テネリフェ,ゴメラ,ラパルマ,イエロ (フェロ) の7島と周辺の小島から成り,総面積は約 7300km2。行政的にはスペインのカナリア諸島自治州の2県を構成し,グランカナリア島以東がラスパルマス県 (面積 4065km2,人口 80万 3392〈1989〉,県都ラスパルマス) ,テネリフェ島以西がサンタクルスデテネリフェ県 (面積 3208km2,人口 75万 4141〈1989〉,県都サンタクルスデテネリフェ) となっている。島はいずれも火山島であるが,西側5島が海洋底から直接そびえたつ洋島で,標高 3718mのテイデ山 (テネリフェ島) を筆頭に 1400mをこえる山をもつのに対し,東側2島は大陸棚にのった低い陸島である。気候と植生は標高によって著しく変化し,標高 450m以下は砂漠気候,450~800mは地中海性気候,800~1300mはいつも雲がかかって冷涼で,それより上は順次,針葉樹林,低木林,草地,氷雪地帯へと移行する。カナリア諸島は古くからフェニキア人,ギリシア人,カルタゴ人,ローマ人などに知られ,古代ローマの著述家,大プリニウスは「大型のイヌ (ラテン語で canis) が多数いたのでイヌの島 Canariaと呼ばれた」と記している。 10世紀末にはアラブ人がグランカナリア島に上陸して交易を行い,13~14世紀にはイタリア,スペイン,ポルトガル,フランスなどの航海者が訪れた。 15世紀初めに始ったスペインによる征服戦争の結果,同世紀末すべての島がスペイン領となり,その後スペイン本国とアメリカ大陸の植民地を結ぶ航路上の要地として発展した。先住民であるベルベル人系のグアンチェ族は,スペインに征服されてのち次第にスペイン人に同化され,純粋な種族としては絶滅してしまった。火山性の肥沃な土壌に恵まれるため農業が盛んで,砂漠気候地帯では灌漑によりバナナ,サトウキビ,タバコ,オレンジ,ナツメヤシなどが,地中海性気候地帯では穀類,ジャガイモ,ブドウなどが栽培される。牧畜,漁業も行われ,魚の塩漬や缶詰などの製造業が発達。また 1950年以降,観光業が急速に発展,現在重要な産業となっており,ヨーロッパ各地から訪れる観光・保養客が多い。小鳥カナリアの原産地。人口 145万 6474 (1991推計) 。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

カナリア諸島

モロッコ沖の大西洋にある火山群島。人口197万。15世紀にスペイン人が征服し、今はスペイン17自治州の一つ。最東端ランサロテ島はアフリカ大陸から105キロ。美しい海岸と豊かな山岳自然で大勢の観光客が訪れる。鳥のカナリアの原産地。

(2006-09-13 朝日新聞 朝刊 1外報)

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デジタル大辞泉の解説

カナリア‐しょとう〔‐シヨタウ〕【カナリア諸島】

Islas Canarias》アフリカ大陸の北西沖合の大西洋上にある火山性の諸島。また、それらで構成されるスペインの自治州。テネリフェ島グランカナリア島ランサローテ島ラパルマ島ラゴメラ島エルイエロ島フエルテベントゥーラ島などからなる。面積7270平方キロメートル。ヨーロッパからの避暑・避寒地。カナリアの原産地。

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大辞林 第三版の解説

カナリアしょとう【カナリア諸島】

〔Canaria〕 モロッコの西方、大西洋にある火山諸島。スペイン領。温暖な気候に恵まれた保養地。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カナリア諸島
かなりあしょとう
Islas Canarias

アフリカ大陸の北西岸、ジュビ岬から西へ約115キロメートルの大西洋上に点在するスペイン領の諸島。総面積7273平方キロメートル、総人口169万4477(2001)。火山列島であり、テネリフェ島のテイデ山(3718メートル)をはじめ多くの火山がある。行政的には、東部のラス・パルマス県と西部のサンタ・クルス県とに分かれる。前者は、ランサローテ島(795平方キロメートル)、フェルテベントゥーラ島(1731平方キロメートル)、グラン・カナリア島(1532平方キロメートル)の諸島で構成される。後者は、テネリフェ島(2057平方キロメートル)、ゴメラ島(378平方キロメートル)、ラ・パルマ島(728平方キロメートル)、イエロ島(277平方キロメートル)からなる。県都は、それぞれラス・パルマスと、サンタ・クルスで、両市に総人口の約35%が集中している。
 気候は海洋の影響を受け、また北東貿易風帯にあり、亜熱帯気候で、常春(とこはる)の避暑地として有名である。年平均気温は16~21℃。サンタ・クルスでは年降水量252ミリメートル、日照時間2876時間、その南西のイザニャでは3354時間とスペイン最多で(1978)、一年中乾燥している。各島の周囲は急崖(きゅうがい)で、森林はなく半砂漠状であるが、灌漑(かんがい)によってバナナ、トマト、ジャガイモ、タバコ、タマネギ、果実などが栽培され、輸出されている。
 工業は魚の缶詰、タバコ加工、石油精製が行われる。15世紀以来、大西洋航路の要衝として栄え、現在は航空路の重要中継地でヨーロッパとの交通が頻繁である。観光業が盛んで、若年層の人口流入も多い。日本の遠洋漁業の基地でもある。島民は、スペイン人とかつての先住民グアンチェ人との混血を祖先とする人々で、カトリック教徒である。小鳥のカナリアの原産地。[田辺 裕・滝沢由美子]

歴史

古代ローマ人の間では「幸運諸島」の名で知られていたが、中世に入り、いったん人々の記憶から消える。1312年ジェノバ人マルセロ・ランサローテにより再発見され、1339年製作のアンジェロ・ドゥルセートの海図に再登場する。こののち、ポルトガルや地中海沿岸地域からの通航が盛んになるにつれ、ポルトガルとカスティーリャ(スペイン)が領有をめぐって対立し、結局、1479年のアルカソバス条約によりカスティーリャへの帰属が確定した。こののち1480年以後、カスティーリャによる本格的な征服事業が進行する。この過程で、先住民であるグアンチェ人は、レコンキスタ(国土回復戦争)でのカスティーリャの敵対者であるモロ人(イスラム教徒)と同列視されたため、自発的にカスティーリャ王に服してキリスト教を受け入れた場合はカスティーリャ臣民(自由民)としての法的身分が保証されたものの、反乱者は武力制圧ののち奴隷として売買された。こうした征服形態は新大陸の征服にも適用された。16世紀からは新大陸とスペイン本国との通航の中継地としての役割を果たし、南アメリカ、とりわけベネズエラ地域へ多数の移住者を送り出した。[青木康征]

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精選版 日本国語大辞典の解説

カナリア‐しょとう ‥ショタウ【カナリア諸島】

(Islas Canarias) アフリカ北西部の沿岸、大西洋上にあるスペイン領の群島。七つの火山島からなる。ブドウ、サトウキビ、バナナなどを産し、大西洋に出漁する日本漁船の基地。カナリアの原産地。

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