年中降水量が少なく乾燥するため、樹木や草本類がほとんど生育しえない気候。ケッペンの気候区分ではBW気候に相当する。この気候地域では降水量が少ないだけでなく、乾燥し晴天が卓越するので、日中の強い日射で地表の露出した砂や岩石は高温になり、日中の気温は40~50℃にも達する。また水蒸気量が少ないので夜間の放射冷却が盛んで、日最低気温は0℃近くまで低下する。したがって気温の日較差はきわめて大きくなる。その結果、地表付近の岩石は物理的風化にさらされ、砂や礫(れき)の生産が多く砂漠特有の地形をつくる。日中大気下層が熱せられると大気は不安定になり、旋風が生じ熱風や砂嵐(すなあらし)となる。雷を伴うこともあるが、降水はまれである。しかし、回数は少ないが、ときに驟雨(しゅうう)性の豪雨となり、短時間に大量の雨が降り洪水が起こる。洪水流は侵食力が大きくワジ(涸(か)れ川)をつくる。有史以来の人間の開発により砂漠は拡大し、現在でも続いている。砂漠の緑化計画と開発は将来の人類にとって重要な課題である。
[深石一夫]
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…年間の降水量が蒸発量より少なく,低湿度のために樹木が生育しにくく,気温の年較差よりも日較差が大きい気候。この気候帯に属する地域は全陸地の約4分の1も占めるが,年降水量が250mm未満の乾燥の厳しい砂漠気候と,夏に短い雨季をもっていて年間250~500mmの降水量を有するステップ気候に分けられる。砂漠気候下では降雨回数がきわめて少ないが,降ると激しく,その時だけ流水がみられるワジがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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