砂漠気候(読み)さばくきこう

精選版 日本国語大辞典 「砂漠気候」の意味・読み・例文・類語

さばく‐きこう【砂漠気候】

〘名〙 極端な乾燥気候で主に内陸亜熱帯高圧帯発達する。昼夜の気温の差が大きく、熱風砂嵐を生じる。植物はほとんど生育できず、砂・小石・岩からなる砂漠が広がる。〔気象学講話(四版)(1916)〕

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デジタル大辞泉 「砂漠気候」の意味・読み・例文・類語

さばく‐きこう【砂漠気候】

ケッペンの気候区分による乾燥気候の一。符合BW降水量が極めて少なく、オアシス以外に植物が見られない。モンゴル・中央アジア・アラビア半島・アフリカ北部・アメリカ西部・オーストラリア中西部などにみられる。
[補説]年平均気温がセ氏18度以上の地域(BWh)とそれ未満の地域(BWk)に分けることがある。後者は主に中央アジアの砂漠地帯で、それ以外の地域の多くはBWh。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂漠気候」の意味・わかりやすい解説

砂漠気候
さばくきこう

年中降水量が少なく乾燥するため、樹木や草本類がほとんど生育しえない気候ケッペン気候区分ではBW気候に相当する。この気候地域では降水量が少ないだけでなく、乾燥し晴天が卓越するので、日中の強い日射で地表の露出した砂や岩石は高温になり、日中の気温は40~50℃にも達する。また水蒸気量が少ないので夜間の放射冷却が盛んで、日最低気温は0℃近くまで低下する。したがって気温の日較差はきわめて大きくなる。その結果、地表付近の岩石は物理的風化にさらされ、砂や礫(れき)の生産が多く砂漠特有の地形をつくる。日中大気下層が熱せられると大気は不安定になり、旋風が生じ熱風や砂嵐(すなあらし)となる。雷を伴うこともあるが、降水はまれである。しかし、回数は少ないが、ときに驟雨(しゅうう)性の豪雨となり、短時間に大量の雨が降り洪水が起こる。洪水流は侵食力が大きくワジ(涸(か)れ川)をつくる。有史以来の人間の開発により砂漠は拡大し、現在でも続いている。砂漠の緑化計画と開発は将来の人類にとって重要な課題である。

[深石一夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「砂漠気候」の意味・わかりやすい解説

砂漠気候
さばくきこう
desert climate

一年を通して雨が少なく,そのために樹木が生育せず,砂漠となっている気候。サハラ砂漠,アラビア砂漠のように亜熱帯高圧帯に沿って分布するほか,中央アジア,南アメリカのパタゴニアなどのように地形の影響によって分布するところもある。前者を高温砂漠,後者を寒冷砂漠という。ウラジーミル・P.ケッペンの気候区分によれば,砂漠限界以下の乾燥した土地にみられる気候で,雨がきわめて少なく(多いところでも 300mm程度),蒸発量が雨量よりも多く,土壌は乾燥して裸地が多い。一時的な河谷(ワディ)がみられ,砂嵐や風塵などの突風が起こりやすい。空気中の水蒸気が少ないため日射が強く,地面は強く熱せられる一方,夜間は大気への放射が大きく強く冷却されるため(→放射冷却),気温の日較差は 50~70℃に達することもある。不毛の地が多いが,人工的に水が得られればナイル川沿岸のように農業も営める。

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百科事典マイペディア 「砂漠気候」の意味・わかりやすい解説

砂漠気候【さばくきこう】

砂漠に特徴的な気候。ケッペンの気候区分では砂漠限界(乾燥限界)で定義される。大部分は中緯度高圧帯にあり大陸性気候を極端に示す。降水量は極度に少なく,気温の年較差,日較差が大きい。熱風,砂あらしなどが発達。きわめてまれに降る強い驟雨(しゅうう)がワジをつくる。
→関連項目乾燥気候大陸気候

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世界大百科事典(旧版)内の砂漠気候の言及

【乾燥気候】より

…年間の降水量が蒸発量より少なく,低湿度のために樹木が生育しにくく,気温の年較差よりも日較差が大きい気候。この気候帯に属する地域は全陸地の約4分の1も占めるが,年降水量が250mm未満の乾燥の厳しい砂漠気候と,夏に短い雨季をもっていて年間250~500mmの降水量を有するステップ気候に分けられる。砂漠気候下では降雨回数がきわめて少ないが,降ると激しく,その時だけ流水がみられるワジがある。…

※「砂漠気候」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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