カミオカンデ(英語表記)KAMIOKANDE

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カミオカンデ」の意味・わかりやすい解説

カミオカンデ
KAMIOKANDE

岐阜県飛騨市神岡の神岡鉱山の地下 1000mに設置された素粒子物理研究のための観測装置。カミオカンデは神岡陽子崩壊実験 Kamioka nucleon decay experimentの略称だったが,その後改称して神岡ニュートリノ検出実験 Kamioka neutrino detection experimentの略称となった。素粒子物理の実験家である小柴昌俊が 1979年に提唱,1983年に完成した。円筒形のタンクに満たした 3000tの純水中を高速の電荷をもった素粒子が通過するときに発する光(チェレンコフ光)を,タンクの壁に取り付けた直径約 50cmの光電子増倍管で捕え,そのデータから素粒子の軌道やエネルギーを決定する。当初はすべての力を統一しようという素粒子の大統一理論から予測される陽子崩壊現象を検出するのが目的だった。太陽など恒星内部の核反応から発生するニュートリノを検出する能力もあったため,1987年2月大マゼラン雲で起こった超新星爆発(→超新星1987A)で発生したニュートリノを 11個検出することに成功,この業績で小柴は 2002年のノーベル物理学賞を受賞した。さらに太陽ニュートリノ観測にも貢献,ニュートリノ天文学創始のきっかけとして,また加速器を使わない素粒子物理実験の代表として画期的な実験装置である。1996年4月には規模を 5万tに拡大した次世代装置スーパーカミオカンデによる観測と実験を開始し,ニュートリノの質量について画期的な発見を行なった。(→素粒子物理学

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カミオカンデ」の意味・わかりやすい解説

カミオカンデ
かみおかんで

東京大学宇宙線研究所が岐阜県吉城(よしき)郡神岡町(現、飛騨(ひだ)市神岡町)に建設した素粒子観測装置。考案者は小柴昌俊(こしばまさとし)。KAMIOKA Nucleon Decay Experimentを略し「カミオカンデ」と名づけられた。1983年(昭和58)に設立された神岡地下観測所(現、神岡宇宙素粒子研究施設)が神岡鉱山茂住(もずみ)坑の地下1000メートルに設置した。1987年には大マゼラン星雲の超新星爆発で放出された素粒子ニュートリノを世界で初めて検出した。1995年(平成7)、より大型化した観測装置スーパーカミオカンデが完成し、観測が引き継がれた。

[編集部]

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カミオカンデ

スーパーカミオカンデ

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